日本代表は悪い流れを断ち切れるか W杯予選北朝鮮戦に向けて識者4人が提言 (3ページ目)

「欧州カップ戦に出場する従来の主力は招集すべきでない」
浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 アジアカップでの準々決勝敗退で、日本代表の周囲にはにわかに重たい空気が漂い始めた。

 だが、身も蓋もないことを言えば、ワールドカップでドイツやスペインに起きたことが、アジアカップでは立場を変えて日本に起きただけのことだ。

 本来の実力はどうあれ、勝つこともあれば、負けることもあるのが勝負事。過度に悲観的になる必要はない。

 むしろアジアカップで本当に痛かったのは、優勝を逃したことよりも、戦力を底上げするための機会として、この大会を生かせなかったことだ。

 日本が戦ったアジアカップ全5試合のうち2試合以上に先発出場した選手は全部で17人いるが、そのなかでカタールワールドカップの登録メンバーではなかったのは、鈴木彩艶、菅原由勢、毎熊晟矢、中村敬斗、旗手怜央の5人。そのうち菅原と旗手はメンバー選考の最終段階まで残っていた選手なのだから、ワールドカップ後に加わったと言える戦力は、実質的には3人だけだった。これではあまりに寂しい。

 過去、日本が優勝したアジアカップを振り返ると、2011年大会は多くの若手選手が起用され、そこでA代表デビューを果たした選手もいたほどだ。その後、長くキャプテンとしてチームを支えた吉田麻也も、この大会が実質的なデビュー戦である。

 また2004年大会では、海外組からの招集がふたりだけに絞られたことで、それまで鬱憤をためていた国内組がここぞとばかりに奮起し、頂点まで駆け上がっている。

 つまり、それまで出場機会が少なかった(あるいは、なかった)選手を起用することで戦力の底上げを図ると同時に、彼らの高いモチベーションを生かして結果につなげる。それこそがアジアカップを戦ううえでの理想だったのだが、今回はというと、ワールドカップでの成功体験を引きずったまま、せっかくの好機をフイにした感が残る。

 しかし、だからこそ、来るワールドカップ2次予選では、その分を取り戻すためにも、従来の主力に頼った戦いは避けたいところだ。

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