「日本代表は時間が経つにつれ集中力を失う」対戦国イランが見た森保ジャパンの弱点 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【負けたくないと思っていた日本】

 試合としては凡庸なものだった。日本は守田英正の得点のおかげでリードしたが、それは彼個人のゴールをしたいという気持ち、彼個人の見事なテクニックのおかげであり、チームのゴールではなく、守田個人のゴールだった。

 そして日本はイランに同点ゴールを許してしまう。これがまず大きな過ちだった。選手たちはもっと手堅く、冷静で、何よりもっと聡明であるべきだった。

 そして私は、PKが与えられたファウルのシーンを少なくとも15回は見直した。別にジャッジを疑っていたわけではない。あれは確かに足がかかっていて、PKだった。それよりも私が知りたかったのは、なんでそんなことをしたのか、だった。

 板倉のファウルはチーム全体の苛立ちから生まれた。問題はなぜイランの選手があの時間帯に、あんなにも簡単に日本ゴールに近づけたかだ。あの時、日本の選手のポジショニングは最悪だった。あと1分で試合が終わるという時点で攻め込まれているのに、ペナルティーエリア内にあんなに少ない選手しかいないのは明らかな過ちだ。少なくとも6、7人の選手がいるべきだった。

 また、この日の森保一監督の采配には大いに疑問が残った。たとえば南野と三笘の交代はあまりにも遅く、その時すでに、チームはイライラして失望の空気に包まれていた。そんな空気を変えるのは至難の業である。与えられた時間の短さは、彼らのプレッシャーをより増大させたように見えた。なぜ交代がこれほど遅かったのか。選手交代があと10分でも早かったら、何かが違っていたかもしれない。

 繰り返しになるが、この試合の日本は負けたくないと思っていた。一方のイランは勝つことしか考えていなかった。これが大きな違いとなった。

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