「日本代表のプレーは迷いを感じさせた」スペインの名指導者がイラン戦で見えた「共通意識の欠如」を指摘 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【ディフェンスを再編成する必要があった】

 何より、日本の選手たちのプレーは迷いを感じさせた。何をすべきなのか、共通の意識が見えない。守田や遠藤航は数的不利を感じていたはずで、イランのパワー攻撃にエネルギーがどんどん削り取られていくようだった。

 この状況だったら、日本は一度、守りのブロックを作って戦う選択をすべきだったかもしれない。『いい守りがいい攻めを作る』の原点に返って、リトリート戦術からカウンターを狙い、戦いのリズムを取り戻したかった。なぜなら、すでにこれまでの試合で指摘していたように、今大会の日本は各所で守りの不安定さが目についていたからだ。

 そして後半になって、日本はさらに追い込まれる」

 エチャリはそう言って、逆転される展開が必然だったことを厳しく指摘している。

「後半に入って、日本はなかなか自陣からボールを持ち出せなくなっていた。そして後半10分、GK鈴木彩艶のキックが呆気なく自陣でカットされてしまう。ショートカウンターから鋭いパスがアズムンに入って、冨安健洋はターンを許す。そして板倉滉が背後へのスルーパスをモヘビに破られてしまい、同点弾を打ち込まれた。

 板倉は、早い時間帯でイエローカードをもらっていた。これで後手に回っていたのか、この前後にもアズムンに容易に背後を取られるなど、何か変調があったように映った。それも含め、繰り返すがディフェンスを再編成する必要があったのだ。

 同点に追いつかれた後、日本はまったく攻めに転じることができていない。イランの選手の力強さ、空中戦の強さ、キック力などパワープレーの質の高さばかりが目立って、最後の15分は攻められっぱなしだった。何度もセットプレーを与えて、複数の決定機を作られていた。

 後半アディショナルタイム、日本はクロスに対応できず、ヘディングで折り返されたところ、板倉がクリアできず、咄嗟のタックルがPKの判定になった。これをジャハンバフシュに強烈な一撃で叩き込まれている。万事休す、だった」

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