日本代表、アジアカップでの焦点は「選手を使い回して」優勝できるか 過去2大会はそれで失敗 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 その半年前、ロシアW杯で当時の西野監督が振った采配とほぼ同じである。さらに西野監督、森保監督は、続く4戦目(2019年はサウジアラビア戦、2018年W杯はベルギー戦)の起用法も同じだった。いわゆるベストメンバーに戻したのだ。西野ジャパンがそこでベルギーに敗れたのに対し、2019年の森保ジャパンはサウジアラビアに勝利を収めた(1-0)。試合間隔は中3日だったが、森保監督は以降もベストメンバーを使い詰めした。その流れで決勝まで一気に行こう考えたのだろう。

 だが、それでは7試合目(決勝)は戦えない。根性論、精神論に頼るサッカーになる。実際、日本のピークはイランに3-0で勝利した準決勝で、そこで燃え尽きてしまった恰好だ。

 W杯でベスト8以上を狙うとアドバルーンを打ち上げた森保監督だが、この選手の起用術では難しい。23人(フィールドプレーヤー20人)中、3戦目のウズベキスタン戦しか出場していない選手が4人(同3人)いた。26人枠ではなく23人枠でこの有様だった。

 間もなくカタールで開幕するアジアカップの森保采配で、まず目を凝らす点はハッキリしている。選手を使い回す術だ。これこそが代表監督に求められる一番の資質なのだ。できるだけ多くの選手を使いながら優勝する。前回大会から得た教訓を森保監督は生かすことができるか。代表監督としての資質を探るうえで重要な要素だと筆者は考える。

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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