森保一監督が「正直、楽しいと思ったことは一度もない」と明かした真意 2023年は「継続するメリットを示さないといけない1年だった」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

寿人 疑わずに信じて決断していくのが、監督のイメージですからね。

憲剛 ある程度やっていくと、たぶん疑わなきゃいけない時期が来るってことですよね。

森保 どうだろう。でも常に疑っているかもしれない。もちろん自分がやること、提示したことには自信を持っていますけど、提示するまでは「これで本当にいいのか」って、常に疑っているかもしれない。

憲剛 疑いがないところまで、自分で自分を疑いながら、悩みながら、いろんなものを見て、聞いて、最終的にこれでやるぞと決断する。要は疑わなくなるところまで自分を追い込んでいくと。

森保 そうだね。

憲剛 だから、選手たちも受け入れられるんだと思います。監督が「これはどうだろう?」と思いながら落とし込んでいたら、選手たちは「これで大丈夫?」ってなりますから。

森保 選手は敏感だからね。

憲剛 そうなんです。僕は一番、そういう監督の心理状態を一挙手一投足、見ていたタイプですから(笑)。我ながら嫌な選手だなと思います(苦笑)。

寿人 ポイチさんは常に「最善の準備」って言っていて。勝っても負けても、常に選手に対してそういう伝えた方をしてくれていたので、僕らも選手自身も常に最善の準備をしとかなきゃいけない状況になるんですよ。そこが同じ温度感になっていたし、だからこそ一体感が生まれていたと思います。

憲剛 でも、自分を疑うという意味でいうと、練習メニューひとつ考えるだけでもそうなりますよね。僕も今、S級ライセンスを受けていますけど、「このメニューで大丈夫か?」って常に悩みます。いろいろ考えすぎて、自分の根底から崩れそうで怖いなって。

森保 憲剛は崩れないでしょ。

寿人 ポイチさんも根底は崩れないですよね。絶対にブレない。

森保 そうかもしれない。

憲剛 でも、こんなことで、ここまで悩むのかって、本当に監督をやることになったら、今と比べものにならないくらい大変だろうなと、日々感じながら過ごしていますよ。

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