森保一監督が「正直、楽しいと思ったことは一度もない」と明かした真意 2023年は「継続するメリットを示さないといけない1年だった」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

寿人 初優勝した2012年の次の年に新しいことにチャレンジしようとして、でもやっぱりうまくいかなかった時期があって、そこでポイチさんは「立ち返る場所に戻る」って言っていたじゃないですか。それで我慢強くシーズンを戦って、最終的には連覇することができた。変わらない強さというものがありましたよね。

森保 やっぱり、みんなはもっと前からディフェンスして、アグレッシブなサッカーをしたいというのがあったと思うから、まずはやってみようと。でも、選手の特徴を考えたら、おそらくそういうサッカーは合わなかった。

寿人 そうですね、しっかりリトリートして、うしろで保持してから、前に出ていくというやり方が合っていたんでしょうね。

森保 そうだね。でも、想いとしては、みんながアグレッシブに走って、気持ちよく戦ってみたいところがあったから、それも含めて、1回やってみて、選手がどう思うかっていうのを見てから決めようと。

寿人 結果的に立ち返る場所があったから、3回も優勝することができたんですよ。

森保 川崎(フロンターレ)は違うんだよね? 聞いた話だけど、常にアップデートして、新たなトライをしていくというのは、ヤヒさん(風間八宏)の頃からあって。広島はやろうとしたけど、やっぱり、戻ろうかみたいな感じで(笑)。

憲剛 やっぱり、一度はチャレンジするんですね。それはそうですよ。優勝すれば対策されるので、それを上回ることをやっていかないといけない。それが何かを考えてチャレンジしていくということが大事なんですよね。

森保 監督というよりも、選手がやってくれたから。

憲剛 でも、これでやるぞって決めるのは監督の森保さんです。当たり前ですけど、監督はすごく大事です。選手の話をそこまで聞き入れる監督は多くないと思います。

森保 責任を取らないといけない立場だからね。

憲剛 だから「今までのベースを疑う」っていうワードは、俺のなかでは衝撃的で。

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