森保一監督に聞いたカタールW杯・勝利の分岐点「浅野拓磨を起用した判断はどこにあったの?」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

憲剛 ハーフタイムに動きましたからね。人も代えて、形も変えて、あの判断は早かったなと。個人的にはそのまま行って、残り30分くらいに動くのかなと思っていたので、ちょっと驚きはありましたね。

 そこからの手の打ち方も早かった。人がどんどんと入れ替わることでドイツが対応しきれなくなっていったのは、テレビ画面越しにもよく伝わってきました。ドイツのベンチが対応に追われている姿を見て、これはいけるかもしれないって感じましたね。

森保 もちろん先行、逃げ切りが一番いいとは思いますけど、ドイツ相手になかなかそれはできないだろうと思っていたなかで、ある程度、相手の攻撃を粘り強くしのぎながら、最後にギアを上げていくというのは、戦いのプランとしてありました。

 でもそのやり方は、実は準備の段階でもけっこうやっていたんですよね。たとえばコロナ禍でジャマイカとの試合が中止になって、急遽組んだオリンピックチームとの試合がそうで。

寿人 あの時もハーフタイムに浅野と伊東純也(スタッド・ランス)を入れましたね。

森保 そう。それでギアを上げていくという。

寿人 広島の時もそうやり方をけっこうやっていましたよね。

森保 そのイメージもあったと思う。広島の時は寿人と浅野を代えたけど、前線の1枚だけじゃなくて、両サイドを含めてギアを上げていこうと。選手交代が5人になったことも大きいですよ。そういう選手が多くいるので、最後はうまさよりも、より推進力を上げていこうというやり方ができましたね。

寿人 1人が90分間プレーするというよりも、人を代えながらどうつなげていくかという考え方ですね。

森保 バトンをつなげて勝つということは、選手たちにずっと言い続けてきたこと。先日のアジア2次予選でも、1試合目と2試合目で先発を入れ替えましたけど、2試合をトータルで考えて、みんなでつないで、勝っていこうというプランでした。インテンシティを保って、最後にギアを上げていこうっていう考え方は今もありますね。

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