「伊藤涼太郎を開幕から抜擢したのは当然」フィンク監督が明かす起用の理由 与えられたタスクに伊藤は「すごく面白い」 (2ページ目)

  • 中田 徹●取材・文 text by Nakata Toru

【アルビレックス新潟で才能を開花させた伊藤涼太郎】

 かつて日本のメディアに「憧れの選手はロナウジーニョ」と答えた伊藤に対して「今、モデルになる選手は誰?」と訊いても、「そういう選手はいないですけれど」という答えしか返ってこない。なにせ「ボランチを縦関係にするサッカーは、STVVしかやってない」のだから。

 つまり伊藤は、オリジナルのスタイルを構築している最中なのである。12月23日のシャルルロワ戦を1-0で勝利したあと、彼は言った。

「もっとバイタルエリアで磨きをかけたい。ビルドアップの精度ももっと上げたい。新潟の時とは違って、最終ラインまで降りたりして、ビルドアップに関わることを監督から求められています。

 個人的にはもっと前でプレーをしたいのですが、やっぱりチームで求められている以上、やらないといけない。プレーの幅は間違いなく広がっています。日本にいる時より走っているのは、数字にも出ています」

 ゴールマウスを守るGK鈴木彩艶も、『STVVのダイヤモンド』を形成するひとりとして最後方からビルドアップを支えている。シャルルロワ戦でSTVVが記録したポゼッション率は65.5%。中盤で味方がマークを背負っていても臆せず、鈴木はグラウンダーのパスをつける。

「ベルギーに来て最初の頃は(ビルドアップで味方の)ポジションが被ってしまいましたが、今日などはパスを受ける前に味方を動かすことができました。ビルドアップのところは成長を感じています」

 STVVはとても若いチームだ。特に守備陣はマッテ・スメット(19歳)、ライン・ファン・ヘルデン(21歳)、マティアス・デロージ(19歳)と、プロデビューしたてのフレッシュな面々が並ぶ。そんな彼らを、21歳の鈴木が叱咤激励して引っ張っている。

「経験のある選手がいると、もう少し落ち着くという考えもあると思いますけど、逆に僕たちは若くてパワーがある。トライアンドエラーを繰り返しながら成長していくことが大事かなと思います。

 ベルギーに来て最初は自分からアクションを起こせてなかった。ここ最近は声だけじゃなく、ジェスチャーを交えて自分からアクションしようと意識しています。そういうコーチングを続けていきたい」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る