中村憲剛が見返すたびに後悔した南アフリカW杯でのワンプレー「今でも、ボールが目の前を通り過ぎていくのを思い出す」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun

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 ファーストタッチがよくて、サイドの長友(佑都)にパスを出したところからクロスになって、チャンスに繋がったので、試合の入りもすごくよかった。岡田さんには『点を取ってこい』と言われたけど、言われたことを守りさえすれば『何をしてもいい』『自分がヒーローになる』って思っていました」

 中村はピッチに入ってから、何度かチャンスが生まれた。だが、なかなか得点には至らなかった。

 結局、延長戦もスコアレスに終わり、PK戦に突入した。中村は玉田らと肩を組み、祈るような気持ちでPK戦を見守っていた。しかし、3番目の駒野友一がPKを外し、日本は敗れた。

「駒ちゃんが外したけど、(川島)永嗣が止めてくれると思っていた。でも、すべて相手にズラされてしまった。

 負けた瞬間は、ショックでした。W杯は負けた時点でチームは解散するので、二度とこのメンバーで戦うことはない。いいチームになっていたし、このチームで上に行きたいと思っていただけに、『ここで終わりかぁ』と思うと悲しかった。

 でも今思えば、あそこが限界だったかもしれない。W杯はどの試合も激戦で、選手は心身ともにかなり疲弊していた。(大久保)嘉人も当時は『まだいける』と言っていたけど、のちに話を聞いたら、疲労がかなりあったらしい。(低い位置の)守備からボールを奪って、一気に前へ出ていくサッカーは、もはや難しい状態にあったと思います」

南アフリカW杯、決勝トーナメント1回戦のパラグアイ戦で途中出場し奮闘した中村憲剛(中央)だったが...。右は稲本潤一、左は岡崎慎司。photo by Getty Images南アフリカW杯、決勝トーナメント1回戦のパラグアイ戦で途中出場し奮闘した中村憲剛(中央)だったが...。右は稲本潤一、左は岡崎慎司。photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 南アフリカから日本に戻り、中村はパラグアイ戦をビデオで何度も見返した。見るたびに後悔の波が押し寄せてきたという。

 そのひとつが延長後半、玉田からのクロスに飛び込んだプレーだ。触れば1点モノで、勝負を決めていたプレーだったが、合わせることができなかった。

「タマちゃんはファー狙いで、自分がマイナスをイメージしていたので、合わなかった。今でも、ボールが目の前を通り過ぎていくのを思い出します。なぜファーにいなかったのか......。マイナスからでも、ファーに行けば、簡単に点が取れたんですよ。

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