菅原由勢「犠牲にしたこともある」13歳で「この道で生きていく」と誓った男は10年後にオランダNo.1右サイドバックとなった (3ページ目)

  • 中田 徹●取材・文 text by Nakata Toru

【オランダメディアも菅原のプレーを大絶賛】

 11月のワールドカップ・アジア2次予選のシリア戦で披露した美しい軌道のゴールには、オランダで磨いた菅原の「右足のエッセンス」がすべて盛り込まれている。守備でも『シュートブロック』のスタッツは、この4年間で1試合当たり0.1回から0.5へと大幅にアップしている。

 このオランダ誌の記事のタイトルは『菅原由勢によってAZは右側に傾く』というもの。今年1月に立てた「攻守に右サイドを制す」という目標を、菅原は達成した。

 今年、代表チームの一員としてコンスタントにプレーした経験は、菅原にいろいろな気づきを与えている。12月17日の対PSV戦で、AZは0-4と大敗した。AZのシュートは89分に菅原が放った、たった1本だけだった。まさに手も足も出ない惨敗だった。

「急造チームの日本代表ですら、短い活動期間ながら質の高い会話を何回も重ねて、ピッチ上で試行錯誤して、ピッチ外でもいろんな話をしてチームとして共通認識をたくさん持って、いろんなアイデアを持って試合で臨んでいる。今年の日本代表の結果というのは、自分たちがやってきていることに伴っている。それは間違いない。

 代表チームに行けば、常に学びがある。トップ・オブ・トップの(クラブでプレーする)選手たちが集まって『こういうトレーニング・ミーティングをチームでしている』とかね。そんなトップ・オブ・トップのチームがそこまでやっているのに、僕のチームはこれだけしかやらないんだろう、これで満足しているんだろう、これで試合に勝てると思っているんだろう......というギャップがすごくある」

 カンファレンスリーグのレギア・ワルシャワ(ポーランド)戦を敵地で戦ってから、首位PSVとの大一番までAZは中2日しかなかった。リカバリーに時間を割かざるを得ないのは仕方がない。それでもピッチの上で、簡単でもいいからPSVに対していかに挑むかを確認し合う作業はできたはず......。そう菅原は厳しく、試合までの取り組みを指摘した。

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