谷口彰悟が驚いたカタール文化 1時間の遅刻にもイライラせず、身の回りの清掃は自分でやらない (2ページ目)

  • text by Harada Daisuke

 時間に対する規則正しさは、世界的にも日本の特長として挙げられるところだが、時間に対する概念や感覚は、カタールもやっぱり異なる。

 規律を重んじるレオナルド・ジャルディム監督がチームを率いるようになってからは、定刻どおりに練習が始まるようになったが、昨季までは開始予定時刻になっても、選手がグラウンドに集まっていないことも多々あった。

 先日、時間に対する感覚の違いをあらためて認識する機会があった。

 練習後、チーム全員で食事をしようという話になった。練習が終わったのが20時半だったため、1時間後の21時半にレストランに集合しようということで話はまとまった。

 自分はチームスタッフのクルマに便乗させてもらい、お店まで行くことにした。それでも集合時間に10分ほど遅れてしまったため、急いでお店に入ったが、何と自分たちが一番乗りだった。

 みんながそろって食事会がスタートしたのは22時半。集合時間から1時間が過ぎたころだった。

 ここでさらに文化の違いを感じるのは、先に到着した選手たちは、さらに遅れてきた選手に対して、「時間! 時間!」と言って腕時計を叩く仕草をしてアピールするのだが、決して彼らは怒っているわけではない。これがもし日本だったら、集合時間を守って会場に来ていた人たちは、イライラしたり、不満げな態度を示したりすることだろう。

 このエピソードから僕自身が何を伝えたいかというと、カタールでは時間に対する感覚が寛容で、それがどこか余裕を持って生活しているように映る。

 そうやって街中を見渡してみると、カタールには、まず急いでいる人がいない。日本、特に首都圏では、ビジネスマンが小走りで駅に向かう姿を見かけたり、時間に追われてあくせくと対応している人の姿を見かけたりする。そうした忙(せわ)しない光景を、カタールでは見かけることがほとんどない。

 カタールで生活するようになり、少しは自分も現地の雰囲気に染まってきたかなと思っていたが、いまだに時間を気にしてしまっているから、まだまだと言うことなのだろう。

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