サッカー日本代表の2023年を福田正博が評価 上田綺世の存在感アップに「久保竜彦と同じレベルの身体能力がある」 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【メンバーの年齢構成のバランスが取れている】

 また、いまの日本代表は、選手たちの年齢構成のバランスが取れていることが好成績につながっている面がある。

 30歳前後の遠藤航(リバプール)、伊東純也(スタッド・ランス)、南野拓実(モナコ)などの経験ある選手たちがいるが、チームの主軸は三笘、冨安健洋(アーセナル)、板倉滉(ボルシアMG)などの東京五輪世代だ。今年から新たに日本代表に招集されている毎熊晟矢(セレッソ大阪)もここに名を連ねるが、この世代の選手層の厚さ、レベルの高さがいまの日本代表の強さの根幹となっている。

 この世代がここから選手として成熟期へ向かうのに加え、その下のパリ五輪世代を含めた若手選手たちが頭角を現わしつつあることも、日本代表への見方をまだ伸びしろがあると変えた理由だ。

 左MFで三笘に次ぐ存在になりつつある中村、右サイドバック(SB)の一番手になりつつある菅原由勢(AZ)、11月の日本代表戦に追加招集されて日本代表デビューを飾った佐野海舟(鹿島アントラーズ)は2000年生まれ。

 佐野はミャンマー戦の後半開始から出場したが、堂々とプレーしていたことに頼もしさを覚えた。持ち味のボールを奪うところだけではなく、攻撃面でも積極的な姿勢を見せてくれた。相手が格下だったとはいえ日本代表のデビュー戦で、味方の錚々たる顔ぶれに萎縮してしまうケースもあり得たなかで、あのプレーぶりだ。

 守備的MFの序列で遠藤、守田英正(スポルティング)に次ぐ3番手にしてもいいくらいだったし、実際にそうなる日は遠くないのではと思っている。

 こうした若い世代の台頭を期待しているポジションがSBだ。右は一番手に菅原由勢がいて、毎熊晟矢が二番手としてサポートする形ができつつあるが、左も同じようになれば、ますます楽しみが増すはず。

 現在の左SBは中山雄太(ハダースフィールド)と伊藤洋輝(シュツットガルト)が務めているが、どちらの選手も守備やフィードのところでの安心感はあるものの、スプリントのスピードが足りない。相手や試合展開に応じて中山や伊藤と使い分けができるスピードのある左SBの台頭を期待している。

 なぜなら左MFには三笘という個人技で勝負できるカードがいるからだ。左サイドでスピードのある選手がオーバーラップして三笘への相手マークを剥がせれば、三笘の攻撃力をさらに活かせる。

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