サッカー日本代表はミャンマー戦で組織的な攻撃は機能せず その理由を表すデータのある変化 (4ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【チームでの崩しから個の力によるゴールに変化】

 しかし今回は、チームとして崩しきったゴールというより、個々の能力によって奪ったものが多かった。

 先制点と4点目は、いずれも南野のクリエイティブな浮き球パスが上田綺世のゴールを生み出した。2点目は鎌田のミドルシュートで、5点目も守田のパス能力と堂安のシュートまでの技術力が光ったゴール。

 最も再現性が高そうに見えた3点目にしても、それ以外のシーンでは見られなかったことを考えると、チームとしての狙いというより、堂安と上田の即興性によって生まれたゴールと見ていいだろう。

 どちらもゴールを量産したという点では同じだが、その方法が変化したことは間違いなさそうだ。これは、2年半前と比べて日本の選手個々の能力がアップした証明であり、逆に言えば、引いて守る相手に対する組織的な攻撃が機能していないとも言える。

 もっとも、引いて守る相手をどのように崩すのかは、アジア2次予選特有のシチュエーションで、W杯本番では起こりえない状況だ。そういう意味では、チームのコンセプトの写し鏡として日本の攻撃方法に着目すれば、今後のアジア2次予選を見るための視点を増やすことができそうだ。

プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

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