サッカー日本代表はミャンマー戦で組織的な攻撃は機能せず その理由を表すデータのある変化 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【前回のミャンマー戦との比較】

 では、今回のミャンマー戦はどうだったのか。FIFAランキング18位の日本が158位のミャンマーをホームに迎えた試合を、過去8試合と比較してもあまり意味はない。対戦相手のレベルや戦い方が、あまりにも違っているからだ。

 2021年5月28日。日本は同じW杯アジア2次予選を無観客のフクダ電子アリーナでミャンマーと戦い、大迫勇也の5ゴールを含む大量10ゴールをマークし、クリーンシートで大勝している。ミャンマーにとっては、国内情勢が激変する最中という特別な状況下で戦った難しいアウェー戦だった。

 その時のミャンマーは、4-2-3-1を基本布陣とする日本に対して中盤の人数を合わせるべく4-5-1を採用。一方、今回ミヒャエル・ファイヒテンバイナー監督がチョイスした布陣は、最終ラインを厚くした5-4-1。ただし、布陣は異なるものの、自陣で守りに徹するという戦い方は変わらなかった。

 戦い方で言えば、日本も当時と同様。ほぼ敵陣でボールを保持し続けるなかで、いかにしてゴールをこじ開けるか。それを最大のテーマとして試合に臨んだことに変わりはない。強いて違いを挙げるとすれば、今回は4-1-4-1(4-3-3)を採用した点だ。

 前回はダブルボランチに遠藤航と守田英正を配置する4-2-3-1。つまり今回の対戦では、通常は1トップ下を担当する鎌田大地と南野拓実の2人をインサイドハーフに配置することで、前回対戦よりも攻撃の駒を1枚増やした格好だ。

 ほぼ同じようなシチュエーションとアプローチで行なわれた2つの試合のスタッツを比較してみると、当然というべきか、数字的にも似通っている。

 たとえば、日本のボール支配率は、前回対戦は71.5%で、今回も72%。シュート数は前回が25本で、今回も24本。引いて守る相手に対する攻撃の最大のキーポイントとも言えるサイドからのクロスボールでも、前回の29本に対し、今回も30本とほぼ同数だった。

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