日本代表はなぜこれほど強くなったのか? 中村憲剛・佐藤寿人に聞いた (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

寿人 もちろん森保監督とすれば、代表チームだけじゃなくてクラブレベルも含めて一緒にやってきたスタッフから、新たなコーチンググループに変わったタイミングだったので、いろんなことを試しながらやっていたと思います。

 新しく加わった名波(浩)さんや(前田)遼一がどういうプラスアルファを作れるかっていうところは、やっぱり3月の時点では難しかったのかなと。でも試合を重ねるなかで、それぞれの提示することが整理されていると思いますし、いろんなことが積み上げられてきている感じはしますね。

憲剛 3月の試合は相手の力量もかなりありましたからね。コロンビアもウルグアイも強いチームでしたから。たしかにあの時はサイドバックが内側に入る戦い方を試したりしていましたけど、そこもいろんな引き出しを増やしたい狙いがあったんだと思います。

 そのなかで一番大きかったのは、アウェーのドイツ戦。あのインパクトは強烈でした。あの試合で世間の見方もだいぶ変わったし、日本代表の風向きが変わった瞬間だったのかなと。世界的にも「日本、強いな」という印象を与えられたと思います。

 その後にトルコ、カナダ、チュニジアにも勝ったことで、さらにその印象は強くなっていると思います。まだ8試合ですが、第一次政権からの積み上げはすごくあると思いますし、今のチームからは自信がみなぎっている感じがしますね。

── 高い位置でボールを取って、縦に速く攻めるやり方がうまくハマっていますよね。

憲剛 もともと、森保さんは「いい守備からいい攻撃」をメインコンセプトにしている方です。ワールドカップの反省から「ボールをもっと握る時間も増やさないと上には行けない」というチームの共通認識は生まれたと思いますが、そっち(攻撃)に針が振れすぎて、大事なところ(守備)を見失うというのは、よくあること。

 3月の試合ではボールを握ろうとする意識を強く持ちすぎたのかなと思いますけど、6月の試合からは力関係もありますが、相手を見ながら、攻守で自分たちが主導権を握って戦うやり方にシフトしていったのかなと。もちろん速く攻めるだけじゃなくて、ボールを持つ時間もある。そこのバランスがうまく取れ始めている印象です。

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