「三笘薫の少年時代のプレー映像があれば...」才能ある選手を脱落させないために反町康治が考える技術委員長の仕事 (6ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【日本サッカーの未来は10年後、20年後を想像して】

 また、日本代表との兼ね合いもある。森保一監督は10月の活動に、パリ五輪世代のGK鈴木彩艶(シント・トロイデン)を招集した。DF半田陸(ガンバ大阪)、DFバングーナガンデ佳史扶(FC東京)、MF川﨑颯大(京都サンガ)らも、過去に招集されている。

「一般論として」と前置きをして、反町技術委員長が語る。

「鈴木彩艶が日本代表としてアジアカップに出場して、4月のU-23アジアカップにも出場できるかどうか。4月のベルギーリーグはプレーオフの時期にあたり、シント・トロイデンとしても簡単には出しにくい、と考えるのが普通だ。パリ五輪世代の海外組をどちらに招集するのかについては、JFAのなかでも決めていかなければいけないところがある」

 Jクラブ入団1年目や大学進学1年目の選手の出場機会を、どうやって増やすのか。2019年を最後にユニバーシアード大会からサッカー競技がなくなった大学生年代の強化を、いかにして充実させていくか。技術委員会が取り組む課題は多岐にわたる。

「10年後、20年後を想像しながら、目の前の課題に取り組み、大会で結果を残す。その積み重ねが、日本サッカーの未来を作っていくと信じている」

 11月10日開幕のU-17ワールドカップで、日本はどこまで勝ち上がることができるか。どんな成果をあげ、どんな課題が浮かび上がるのか。

 インドネシアでの戦いが、2026年や2030年のワールドカップにつながっていく。

<了/文中敬称略>


【profile】
反町康治(そりまち・やすはる)
1964年3月8日生まれ、埼玉県さいたま市出身。清水東高→慶應大を経て全日空に入社。横浜フリューゲルス誕生後も社員選手として続けるも、1994年にベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)へ移籍した際にプロ契約を結ぶ。1997年に現役引退。2001年〜2005年はアルビレックス新潟監督、2006年〜2008年は北京五輪世代のアンダー日本代表監督、2009年〜2011年は湘南ベルマーレ監督、2012年〜2019年は松本山雅FC監督。2020年3月に日本サッカー協会・技術委員長に就任。日本代表4試合0得点。ポジション=MF。身長173cm。

プロフィール

  • 戸塚 啓

    戸塚 啓 (とつか・けい)

    スポーツライター。 1968年生まれ、神奈川県出身。法政大学法学部卒。サッカー専誌記者を経てフリーに。サッカーワールドカップは1998年より7大会連続取材。サッカーJ2大宮アルディージャオフィシャルライター、ラグビーリーグワン東芝ブレイブルーパス東京契約ライター。近著に『JFAの挑戦-コロナと戦う日本サッカー』(小学館)

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