「三笘薫の少年時代のプレー映像があれば...」才能ある選手を脱落させないために反町康治が考える技術委員長の仕事 (5ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【パリ五輪に向けて大岩ジャパンをどう強化する?】

 アジアの国々との対戦を控えた日本は、アフリカ勢を対戦相手に選ぶこともある。中東相手のシミュレーションの位置づけだ。

「U-23アジアカップの上位3カ国が五輪の出場権を得て、4位はアフリカとの大陸間プレーオフにまわる。そこまで考えておくと、アフリカ勢とやることに意味がないわけではない。けれど、アフリカのチームが日本に来る場合は、チーム編成が計算できない。

 6月にU-16日本代表がU-16ナイジェリア代表と試合をしたけれど、6-1での勝利だった。そういう相手だと、試合をする意味が薄れてしまう。それならば、アジア最終予選に出場する国で、順当に勝ち上がったら決勝まで当たらないポット1のチームを中心に、交渉するのもひとつという話はしている」

 11月23日に行なわれるU-23アジアカップの組み合わせ抽選で「ポット1」となっているのは、開催国のカタール、サウジアラビア、ウズベキスタン、それに日本である。ポット2はオーストラリア、韓国、イラク、ベトナムだ。

「U-23アジアカップがカタールで行なわれるのに、サウジアラビアがわざわざ日本に来るはずがない。カタールもしかり。ウズベキスタンとは、このところ何度も試合をしている。我々の強化にはなりにくい。いずれにしても、組み合わせ抽選のあとに理想の対戦相手を見つけるのは難しいので、早い段階から動いてきたのは確かだ」

 大岩監督が率いるU-22日本代表には、多くの海外組が含まれている。これまでの活動はFIFAのインターナショナルウインドウと同時期に行なってきたため、欧州のクラブに所属する選手も招集できた。

 しかし、U-23アジアカップはアジア独自のスケジュールで行なわれる。選手の招集について聞かれると、反町技術委員長は「まだ何とも言えない」と厳しい表情を浮かべた。

「海外でプレーしている選手については、所属クラブとの話し合い次第になる。監督が呼びたいと考える選手については、もちろんそうなるように動く。Jリーグもリーグ戦の期間中なので『1チーム何人まで』という人数制限を設けることになると思う。とにかく現場の意向に沿うように必死に調整する、ということだ」

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