「三笘薫の少年時代のプレー映像があれば...」才能ある選手を脱落させないために反町康治が考える技術委員長の仕事 (4ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【遠藤航や前田大然が反町監督から学んだこと】

 海外渡航に障壁がなくなった現在は、育成年代のチームが積極的に遠征を行なっている。一方で、国内の育成環境にも課題がある。

「コーンとか人形をピッチに立てた練習と、相手を入れた練習では、どちらが強度は高いか。崩しのパターンを作ったりするために、相手を入れない練習も必要かもしれない。

 でも、俺自身は常に相手を入れたメニューを組んでいた。それによって積み上がっていくものがあったから。海外へ行けばミドル級の選手と対戦できるけど、国内の練習で自分たちの階級を上げることも、決してできないわけではないと思う」

 反町技術委員長が監督を務めたアルビレックス新潟、湘南ベルマーレ、松本山雅FCは、タレントの質で対戦相手を凌駕するチームではなかった。とりわけ湘南と松本は、高強度の練習を土台とするハードワークを強みとした。湘南では遠藤航が、松本では前田大然が彼の薫陶を受け、国内でのステップアップを経て海外移籍を果たしている。

 1対1のバトルで勝つことができれば、ピッチ上で起こるさまざまな問題を個人で解決できるようになる。ドイツで言うところの「ツヴァイカンプフ(1対1)」を若年層から磨いていくことが、アンダーカテゴリーの世界大会での好成績へ結びつき、引いては日本代表の強化にもつながっていくのだ。

 2024年は、オリンピックイヤーだ。

 8大会連続の出場権獲得へ向けて、大岩剛監督が指揮するU-22日本代表は海外での強化試合を重ねてきた。11月18日のU-22アルゼンチン代表戦(静岡・日本平)が、国内初のテストマッチとなる。

「ここまでは目線を五輪本大会へ向けて、3月にドイツとベルギー、6月にイングランドとオランダ、10月にメキシコ、アメリカと試合をしてきた。11月にはアルゼンチンとやる。

 FIFAランクで日本よりも上の国々と試合を重ねて強化をしてきたわけだけれど、パリ五輪のアジア最終予選にあたるU-23アジアカップは来年4月で、直前の3月の試合をどうするか。ここは現実路線で、アジアの国とやるのも選択肢のひとつ。9月のU-23アジアカップ予選で、ちょっと苦労したところもあったので」

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る