「三笘薫の少年時代のプレー映像があれば...」才能ある選手を脱落させないために反町康治が考える技術委員長の仕事 (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【早生まれの子どもがサッカーを辞めてしまう要因】

 ラウンド16の常連から世界のベスト8、ベスト4入りを現実的なターゲットとしていくために──。反町技術委員長は育成年代の強化のさらなる充実を進めている。

 まずは、選手の発掘だ。

「高校生年代に関して言えば、単一のクラブ、高体連、Jクラブのアカデミー、それから海外にいる選手にも情報網を広げている。現状はすごくアナログで、こういう情報が入ってきました、じゃあ見に行こう、といった感じ。

 そうではなくて、データベースをしっかり作ろうとしている。この選手はこのタイミングで呼んでいるから資料を見てみよう、映像をチェックしてみよう、ということがワンクリックでできるスキーム作りを急ぎたい」

 たとえば、12歳のタイミングで選考の網にかかった選手をデータ入力しておけば、その後の成長過程を追跡できることになる。ある時期を境にピックアップされなくなった選手がいれば、その原因を究明する手助けにもなるはずだ。

 才能を発掘するだけでなく、脱落させないことも重要だ。反町技術委員長は自身の経験を踏まえつつ、サッカーの価値を高めていこうとしている。

「たとえば、三笘薫の少年時代のプレー映像があれば、この時にこんなことをやっていたんだとか、これはできていなかったんだ、このタイミングで一気に成長してきたんだな、といったことがわかる。身体が小さい子どもさんに『これを見てごらん、キミだって三笘になれるよ』と言ったら、サッカーを辞めないかもしれない。

 早生まれの子どもは成長のタイミングが遅いから、それが理由で辞めちゃうことがあるんだ。俺自身も3月生まれで同級生より小さくて、うまくいかないから辞めてしまおうと思ったこともしばしばだった。そういうこともあり得るわけで、日本代表選手の幼少期の映像などを資料としてパッと見せれば、親御さんも子どもさんも、安心してもらえるかもしれない」

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