W杯アジア2次予選にオールスターを招集する前時代性 ミャンマーに全力で立ち向かう必要はあるのか? (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

"ベストメンバー度"を下げて臨む。それにより、ごく稀に番狂わせを許すことがある。予選落ちする可能性もゼロではない。だが、そのやり方を変えようとしないのは、W杯本大会で上位を狙うなら、それがベストな選択だという確信があるからだ。

 その覚悟、割り切りを日本はまだ持つことができない。相手を毎度、過度に怖がり、絶対に負けられないとばかりオールスターキャストで臨む。一戦必勝の甲子園スタイルでW杯ベスト8以上を狙おうとしている。「2050年までに優勝する」と言うが、その方法論では無理だ。早晩、何らかの形で限界が来る。

 前回のホーム戦で10-0の勝利を収めた相手に、アウェーでは0-2だったことを引き合いに出し、オールスターキャストを編成する日本代表監督。このノリに付き合わされる選手に思わず同情したくなる。気がつけば日本のサッカー界は、考え方が前時代的になってしまったものだ。この30年で、成績は出るようになったが、それと引き替えに大切なものを失ったようでさえある。残念だ。
 

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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