日本代表はW杯2次予選をどう戦うべきか「ベストメンバーを崩して戦うべき」識者4人が提案する (2ページ目)

【出来上がった代表の状態は2年半も続かない】

 とすれば、従来、控えが多かった選手がスタメンを飾ることになる。選ばれたり選ばれなかったりしているボーダーラインの選手、さらには呼びたくても席が埋まっているために呼べなかった選手がメンバーに入る。

 カタールW杯の三笘がそうであったように、これから本番まで2年半の間に新たに代表入りしそうな選手はかなり高い確率で複数、存在する。そうした可能性を感じる選手に出場機会を与えることもできる。

 W杯後、日本は8戦して6勝1分1敗だ。チームは早くも8、9割方、出来上がった状態にある。しかし過去の例に従えば、この状態は2年半も続かない。ジーコジャパン、岡田ジャパン(第2期)、ザックジャパン、ハリルジャパンともに、競馬でたとえるなら第4コーナーを回ったあたりで失速した。同じ轍を踏まないためにも、ステイタスがけっして高くないアジアカップ、弱者と戦うW杯の2次予選は、現状のベストメンバーを崩して戦うべきだ。

 アジアカップはU-22(五輪代表チーム)で臨んでもいいくらいだが、森保一監督は先日、「FIFAの規定にしたがい......」と、語っている。A代表で臨む構えだ。問題はその中身になる。W杯アジア2次予選のホームゲームは国内組主体で十分だ。海外組を呼びたいなら、実力がありながら、まだ選ばれていない選手を加えたい。欧州カップ戦に出場している上記の12人は、2回に1回とか、ローテーションで呼ぶ。

 冒頭で、W杯出場を逃す確率は皆無と述べたが、究極の話、このやり方でまさに万が一、出場を逃しても、W杯でベスト8、ベスト4、優勝を狙う過程での事故だと割りきるしかない。協会は「2050年までには優勝」と言っている。時間はそれほどない。選手のクオリティーを信じ、現在よりもっと効率的な強化方法を探らないと成長率は鈍る。

 もっとも、そうした日本代表の中長期的なスタンスを決めるのは本来、時の代表監督の仕事ではない。ナショナルチームダイレクター(山本昌邦氏)であり、技術委員長(反町康治氏)、もっと言えば、「優勝」を打ち出した田嶋幸三会長の仕事である。「FIFAの規定にしたがい......」は、組織を代表する彼らが述べるべき台詞。役割がおかしい、とは率直な印象である。

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