U-22日本代表キャプテン・山本理仁がベルギーで覚醒の予感「成長した結果がデータにも出ている」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 コンスタントに出場機会を得るなかで、徐々に早まる山本投入のタイミングは、チーム内における序列が少しずつ入れ替わり始めているからこそだろう。

「この間の試合(第8節ゲンク戦)にスタメンで出ましたけど、その前後くらいから(トルステン・フィンク)監督の信頼をつかんできているんじゃないかな、と。最近、交代の1枚目として使われることが多くなったのは、信頼を勝ち取ってきている証だと思っています。

 ただ、ここから求められるのは、ゴールやアシスト。そういうわかりやすいものを見せていかないと、やっぱりレギュラーの座を確保するっていうところまではいけないと思うんで。監督からある程度の信頼を得るという意味では手応えを感じつつ、あともうひとつのところだなっていう感触ではありますね」

 海外移籍を決断するにあたり、山本にはA代表への強い意識があったことは間違いない。

 以前、同世代の選手がA代表に選ばれることについて、「(自分も)早くレベルを上げないと置いていかれる危機感がある」と話していたが、実際にシント・トロイデンへ移籍し、海外組のひとりとなった今、A代表という存在はどう見えているのだろうか。

「(同世代の鈴木)彩艶もしっかりシントで出場機会を勝ち取って、レギュラーを取ったことで(A代表に)選ばれたし、橋岡大樹くんもそうですけど、やっぱりチーム内にA代表の選手がいることで、そこへの意識はより高くなる。シントでポジションを取って活躍さえすれば、A代表に食い込めるっていうことをふたりが示してくれていると思うんで、よりA代表が身近になったような感じがします」

 ベルギーで文字どおりパワーアップを続け、U-22代表においてはもはや不可欠な存在になりつつある山本も、やはり目指すはさらなる高みである。

「(試合の)映像を見ていても、やっぱりA代表は強度だったり、スピードだったりっていうところで、格段にこっち(U-22代表)とは違うと思います。でも、ヨーロッパに来て、そこは自分も上がっているところだと思うし、ヨーロッパに来なければ、そういったものは上がらなかったのかな、とも思うんで。そういった意味では、やっぱり海外に来てよかったなって、自分のなかで感じています」

 昨秋以来、海外遠征を重ね、ヨーロッパをはじめとする強豪国との対戦を重ねてきたU-22代表は、来たる11月18日、静岡・IAIスタジアム日本平にアルゼンチンを迎え、チーム立ち上げ以来、国内では初めてとなる国際試合を行なう。

 いわば、凱旋試合。おそらく左腕にキャプテンマークを巻くことになる山本は、ベルギーでたくましく成長した姿を見せてくれるはずである。

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