冨安健洋の存在感を思い知った日本代表の連勝劇 福田正博は鈴木彩艶にも期待 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

【GKに期待すること】

 そこで残る大きな課題はGKだが、チュニジア戦では鈴木彩艶(シント・トロイデン)が出場した。昨夏のE-1選手権でプレーしているが、多くの主力メンバーのなかでプレーした今回が実質的な代表デビュー。そんなチュニジア戦で、21歳とは思えない落ち着きで自分の持ち味を十分に発揮した。

 鈴木彩艶の特長は、プレーエリアの広さと、なんと言ってもフィジカルの圧倒的な強さにある。歴代の日本代表GKは、シュートストップや足元の技術に不安はなかったが、長身で体格のしっかりしたGKには恵まれなかった。そのため強豪国のFWとゴール前で肉弾戦になった時に、当たり負けしない高さと強さを持ち合わせてはいなかった。

 しかし、日本代表がW杯でベスト8以上を達成するためには、失点を防ぐところで重要な役割を担うGKのゴール前での強さが不可欠だ。ハイボールに対してGKが前に出て防ぐ時、パンチングをするのか、キャッチをするのかによって、試合の流れは大きく変わる。

 これまでの日本代表だとパンチングでボールをはじき出し、それをまた相手に拾われて波状攻撃を受けるケースが少なくなかった。だが、もしこの時にGKがキャッチできて相手の攻撃を終わらせれば、味方選手たちは一息つき、ポジショニングを仕切り直すことができる。

 ベルギー代表のロメル・ルカク(190cm、93kg)のようなFWを相手にしても、ボールをしっかりキャッチできるポテンシャルを持つGKとして、190cm、91kgの体格を持つ鈴木彩艶には大いに期待している。

 ただ、彼がここから日本代表の守護神になれるかは、安定したプレーができるかが課題だろう。積極的に前に出ていくプレーが魅力ではあるが、シント・トロイデンでは時として前に出るばかりになって失点を重ねるケースもある。

 前に出る、出ないの判断のクオリティをどこまで上げていけるか。それができるようになれば、欧州で大きなステップを踏んでいけるはずだし、それを実現できるだけのポテンシャルを持っている。彼が成長しながら得る経験値が、ここからの日本代表をさらに成長させていくと期待している。

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