日本代表は引いて守る相手をどう崩す? 5バックのチュニジアを攻めあぐねていた (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

【前半に日本自らつくった決定機はなし】

 一方、自陣で守る相手に対する攻撃はどうだったのか。これについては、手放しで喜べるようなものではなかった。

 とりわけ前半は、確かに日本が敵陣でプレーする時間は長かったが、ゴールの匂いはほとんどしなかった。日本が攻めあぐねていた印象が残った。

 たとえば公式記録では、前半の日本のシュートは7本あった。しかしそのうち4本は、シュート直後に目の前の相手にブロックされた強引なもの。シュートとしてカウントされなくても不思議ではないような、極めて可能性の低いシュートだった。

 それ以外の3本は、GKにキャッチされた久保の直接FK(12分)、相手ペナルティエリア内で久保が蹴ったボールが相手に当たり、そのこぼれを旗手が狙った枠外シュート(23分)、43分に古橋が決めた先制ゴールだ。ただそのゴールも、旗手が右サイドにパスしたボールが相手にブロックされ、そのこぼれが古橋に転がってきたラッキーなものだった。

 こうして冷静かつ客観的に振り返ると、前半に日本がつくった決定機はひとつもなかったことになる。ボールを握って主体的に攻めようとはしたが、5-4-1の守備ブロックを崩してシュートまで持ち込むことができなかった、と前半を振り返るのが妥当だろう。

 前半のボール支配率は、日本の63.3%に対し、チュニジアは36.7%だった。実は、開始早々に相手が退場したエルサルバドル戦(6月15日)を除けば、日本が4ゴールを記録して勝ち続けてきた直近4試合は、どれもボール支配率では日本が下回っている。4日前のカナダ戦も、日本の46.4%に対してカナダが53.6%だった。

 要するに、第二次森保ジャパンのサッカーは、自分たちがボールを握って攻めるよりも、相手がボールを握った状態で強さを発揮するというひとつの特徴が浮かび上がってくる。もちろんこれは良し悪しの問題ではなく、あくまでも現在のサッカーのスタイル、特徴として頭に入れておきたいポイントだ。

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