日本代表は引いて守る相手をどう崩す? 5バックのチュニジアを攻めあぐねていた (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

【カウンターを受けずに敵陣で攻め続ける】

 守備時に4-4-2へと変化するパターンは通常どおり。ただ、チュニジアが後方からのビルドアップに固執せず、躊躇なくロングボールを蹴るチームだったため、カナダ戦で見せたような、守備時の形を変更して前からハメようとすることもなかった。相手に蹴らせたボールをしっかりマイボールにすれば十分だった。

 クリーンシートの原動力となったのは、冨安健洋と板倉滉のセンターバックコンビだ。この2人がコンビを組む場合、ディフェンスラインが高くキープされる傾向が強く、それによって全体の陣形はコンパクトに保たれる。選手間の距離が遠くならないので、日本が敵陣でボールをロストしても、相手のカウンターを受ける前に即時回収しやすい状況が生まれる。

 しかも、そのふたりの前でプレーした遠藤航と守田英正も守備力が高いため、チュニジアはカウンターの糸口さえもつかめなかった。

 そういう意味で、これから引いて守るアジア勢との戦いが始まる日本にとっては、カウンターを受けずに敵陣で攻め続ける方法とその自信を深められた試合でもあった。

 もちろん、9月のドイツ戦の前半のように、互角以上の相手と戦う場合はこのコンビでもハイラインを維持するのは難しいが、少なくとも、自陣で守ることを基本に日本に向かってくる相手に対しては、ほとんど心配なさそうだ。

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