日本代表は「遠藤航がいなくなった後の戦い方は課題」スペインの名指導者がカナダ戦を分析 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【リズムが悪くなった終盤】

 日本は再び前線からの守備に後ろが連動するようになって、優勢を取り戻している」

 エチャリはそう言って、特筆すべき選手の名前を挙げた。

「南野拓実の代表復帰は本当に喜ばしい。彼はトップ下に近いポジションで、あらためて攻撃能力の高さを示した。鎌田大地に近いポジションだが、よりゴールに対する意識が強い。必ずポジションに入ることができていたし、攻撃にインテンシティを与えられる。前半39分、浅野拓磨のクロスに飛び込み、触ることはできなかったが、その動きが相手を惑わせ、オウンゴールを誘発した。

 南野は確かに、いくつか巡ってきたシュートは外している。しかし、今回はゴールを狙うポジションを取れていたこと、周りとの連携もできていたことを収穫とすべきだろう。非常に勤勉かつパワーも感じさせ、賞賛に値した。

 2-0にした後、カナダは明らかに気落ちしていた。お粗末なミスが多発し、中村敬斗の一発を浴びている。さらに後半に入って、すぐに再びカウンターを喰らい、万事休止だった」

 しかし、エチャリは気になる点を指摘している。

「日本は遠藤が存在感を示していた。中盤で、傑出したインターセプトを連発。トランジションでも、トッププレーヤーのクオリティを見せた。個人的にはややファウルが多く、場合によってはカードを受けてハンデを背負う怖さもあったが、守備を攻撃に結びつけていたのは間違いない。

 それだけに、遠藤に続いて田中もピッチを去ると、リズムは極端に悪くなった。カウンターは浴びせるも、ペースは握れていない。その結果、終了間際に右サイドを破られ、GK大迫の(弾く場所の)ミスもあって(この直前にはいいブロックがあったのだが)、失点を喫した。

 大差がついただけに見逃しがちだが、遠藤がいなくなった後の戦い方は課題と言えるだろう。守備のところでゆるさが出たり、攻撃がカウンター一辺倒になったりすると、たちまち不具合が出る。フットボールはディテールであり、デリケートであることを忘れるべきではない」

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