日本代表の大量得点を支える守備の仕組み カナダとの差は遠藤航の存在にあり (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishuku Torao

【「うまくいきすぎとは思ってない」】

「1点入って、PKになるまではうまくいっていなかったですね」

 中盤で攻守のバランスを取り直した遠藤航はそう説明している。

「でも、そこからは修正できました。今の代表は、これといった形があるわけではないけど、戦術の幅みたいなものは広くて。"相手がこれだったら、こう戦って"というようにカメレオンのように変われるというか......。日本人選手はもともと戦術理解は高いと思っているので、各々の判断でそれができるようになってきていると思います」

 何より、その遠藤は攻守の仕組みそのものだった。彼が他の選手の動きに合わせ、補完関係を作ることで、そのプレーを引き立てていた。田中、南野拓実の2人には一番恩恵を与えており、常に背後をカバーすることで、積極的な攻撃を促した。守備の綻びも次々に修復。たとえば、躍動し始めたデイビスに対し、あえて強くチャージし、その勢いを止める芸当は、さすがリバプールのMFといったところか。

 森保ジャパンは守備でアドバンテージを取れるようになると、面白いように加点し、勝負ありだった。

「(5連勝は)うまくいきすぎているとも思っていなくて。自分たちの力だとは思っていますが、満足しているわけでもありません」

 遠藤はそう言って、守備を司る極意を語る。

「"前の選手が(守備に)いったら、後ろがついてくる"と信じられるようにしないと、とは思っています。後ろから(前の守備の)声をかけてもいいけど、自分はそれでは遅い、と思っていて。だから、前の選手にまずはアクションを起こしてもらうべきで、もし、それでうまくいかなかったら、自分が修正すればいいと思っています」

 後半途中、遠藤が交代でベンチに下がった後は、攻守の締まり具合は緩くなっていった。他にも多くの交代選手が出たのもあるが、オープンな展開にさせすぎ、コントロールを失っていた。そのせいで終了間際に右サイドを完全に破られてしまい、クロスを大迫が飛び出しながら弾ききれないミスを露呈し、こぼれを蹴り込まれてしまった。

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