スペインの名将がトルコ戦を総括「久保建英が際立っていた」「戦術的エラーが目立った」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

【日本の3点目に注文】

 36分には自陣で毎熊晟矢がボールを奪うと、一気にゴールへ殺到している。カウンターで日本は優位に立ち、中村がゴールを決めた。これで3-0になったわけだが......。戦術的には合格点をつけることはできない。

 このシーンは、毎熊が前へ運んだところで、トップの古橋亨梧はマークを引きつけてニアに入り、そのスペースに久保、もしくはファーポストの中村が待つのが定石だった。古橋は得点を自らが狙いすぎ、周りを生かすプレーが疎かになっていた。トルコは右サイドの選手が戻らず、拙守に助けられて、結果的に中村はフリーになったが、戦術的な動きでもっとロジカルにフリーになれていたはずだ。

 古橋は俊敏性やゴールの形はすばらしい選手だ。ただ、たとえば岡崎慎司のように戦術的に成熟できないと、1トップは苦しいだろう。うまくいかないことで、どこか焦りも抱えていたのかもしれない。ややパワーにも欠ける選手だけに、せっかくのシュート精度まで悪くしていた」

 エチャリはあくまで建設的に解説している。3-0になったが、日本はトルコを圧倒していたわけではなかった。戦術的エラーが目についたという。

「37分、堂安律はインサイドへのスルーパスを狙い、そのトライそのものは失敗したが、悪くなかった。相手のカウンターにすぐ反応したのもよかったが、相手に運ばれてしまったところ、右サイドバックが前に出て守備をしていたにもかかわらず、右アタッカーの堂安がカバーを怠っていた。強豪との一戦では、こうした"さぼり"は大きな代償を払うことになるだろう。

 44分、日本はFKを与えると、ロングボールをファーポストで折り返され、正面に弾いたボールをヘディングで押し込まれている。前半終了間際のFKで、守りきる工夫がほしかった。GKのプレーもやや不安定だった。

 また、左サイドバックの伊藤(洋)はことごとく背後を取られている。左サイドからのクロスに対し、ボレーで狙われたシーンがあったが、なぜ直前にマークを外したのか? 失点にならなかったのは、単なる僥倖(ぎょうこう=思いがけない幸運)だろう。また、ひどいコントロールでボールを相手に渡し、カウンターも浴びた。61分にも自らが潰すべき相手を見失い、クロスを入れられ、トルコに2点目を奪われている。目の前のアタッカーをみすみす自由にして、だ。味方が触ってコースが変わった"不運"に見えるかもしれないが、必然の失点だろう。

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