サッカー日本代表 トルコ戦でハッキリした選手のアドリブ任せ攻撃 プレー原則はなくて大丈夫? (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

【伊東純也加入後、攻撃バリエーションが増加】

 ところが、後半開始から堂安に代えて伊東を右ウイングに起用し、左ウイングの中村を前田大然に代えると、日本の攻撃は一変する。

 56分、右から伊東がクロスを供給すると、ゴール前の久保が決定機を迎える。残念ながら久保のファーストタッチが乱れてシュートに持ち込めなかったが、相手DFのクリアが久保に当たってボールがポストを直撃するというシーンを作った。

 62分にも、伊藤(洋)、久保を経由して前田にボールがつながると、前田がペナルティーエリア内左から速いクロスを供給。ゴール前の古橋がポストを直撃するシュートを放つという、前半には見られなかった左サイドからのゴールチャンスも作っている。

 さらに82分には、ようやく伊藤(洋)がオーバーラップしてクロスを入れると、ゴール前に飛び込んだ田中がシュート。その背後には前田がシュートチャンスをうかがっていただけに惜しいシーンではあったが、これも前半にはなかった決定機だった。

 このような変化のなか、後半の日本が記録したクロスは10本に増加。右サイドからは伊東が5本、後半から右SBに入った橋岡大樹が2本を供給し、左サイドでは前田、久保、伊藤(洋)がそれぞれ1本ずつのクロス供給を記録した。

 後半は、トルコが主力を一気に投入したことも影響し、日本がトルコの追撃弾を浴びるなど守備面に問題が発生。布陣が間延びしてトルコにつけ入る隙を与えた印象が強い。しかし攻撃に関しては、前半の問題が解消されたことは確かだった。

 後半から左ウイングでプレーした前田も、決してサイドを縦に向かって攻めるタイプではない点を考えると、この変化は、伊東が右ウイングに入った効果と見るのが妥当だ。

 伊東は後半開始早々の2分に右サイドの大外からクロスを入れると、6分、11分と立て続けにクロスを送って相手の守備陣形を広げることに成功。それによって、前田も含めた日本の左サイドにスペースが生まれ、伊藤(洋)もオーバーラップするタイミングとスペースをつかみやすい状況が生まれていた。

 しかも59分には、オフサイドになったものの、伊東自ら広げた相手の守備網の中央に入り込んで、ゴルフのパターのような丁寧かつ正確なピンポイントスルーパスを古橋に配給。PK獲得につながった自陣ペナルティーエリア前からの大爆走も含め、まさに変幻自在のプレーぶりで日本の攻撃バリエーションを増やしていた。

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