日本代表、ドイツ戦の勝因は何か? 作戦変更は本当に「賢く、したたか」だったのか (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

 アウェーの親善試合である。最大の狙いは選手に自信をつけさせることだ。最後まで高い位置で撃ち合ったほうが成果はあがる。たとえ2-3で逆転負けを喫したとしても、日本はドイツからもっと恐れられる存在になっていただろう。後半、日本は逃げた。これでドイツ選手が日本を心底リスペクトするとは思えない。

 カタールW杯といい、今回といい、守備的サッカーに転じ成功を収めている森保ジャパン。監督は「守から攻へのカウンターでチャンスの数はむしろ増えていた」と胸を張る。

 だが世界の数あるサンプルに照らせば、その延長線上に幸があるとは思えない。カウンターと言いながら、その後、久保建英、堂安律というけっして快足とは言い難い小兵を両ウイングに据えた作戦に、何より疑問を覚える。

 選手の力は確実に上がっている。正攻法で戦っても、かなりやれる。その可能性を最大限、追求すべきではないか。負けを恐れず、真っ向勝負を挑むべきではないか。選手に問題はない。一番の心配は監督采配。両者の差はここにきて開いている。
 

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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