日本代表、ドイツ戦の勝因は何か? 作戦変更は本当に「賢く、したたか」だったのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

【三笘が孤立気味だった理由】

 高い位置からプレスをかけると、ドイツは結構ミスをした。格下相手にミスをするたびに、チームとして不快感を募らせることになった。

 日本の先制点は前半12分。右SB菅原由勢が縦突破を決め、マイナス気味に折り返すとニアで構えた伊東純也が反応。シュートはドイツのCBアントニオ・リュディガーに当たりコースを変えながらドイツゴールに飛び込んだ。

ドイツ戦で先制ゴールを決めた伊東純也ドイツ戦で先制ゴールを決めた伊東純也この記事に関連する写真を見る ドイツが同点に追いついたのはその7分後(前半19分)。イルカイ・ギュンドアン、フロリアン・ヴィルツとつないで右ウイング、レロイ・サネが流し込み1-1とした。

 だが試合内容は互角のまま。ドイツが1点を返しても日本の勢いが衰えることはなかった。日本の勝ち越しゴールはその僅か4分後(前半23分)、菅原が再び右サイドを突破。伊東経由で上田綺世が決め2-1とした。

 日本のゴールは2点とも右からだった。左の三笘薫が自慢のウイングプレーを披露したのは、前半21分のワンシーンに限られた。日本の攻撃は何となく右回りになっていた。4-2-3-1の1トップ下で先発した鎌田大地が真ん中より右寄りでプレーしたことと、それは密接な関係がある。

 三笘はサポートがなく孤立気味となった。左SBの伊藤洋輝はブライトンの左SBペルビス・エストゥピニャンとは異なり、専守防衛に徹することになった。対面の選手であるサネを必要以上に警戒したからにほかならない。

 28分、サネの折り返しをヴィルツがシュート。33分には再びサネが決定的な折り返しをゴール前に送り込んでいた。日本は左サイド(ドイツの右サイド)で後手を踏んだのだ。菅原と伊藤を比較すれば一目瞭然となった。

 森保監督は試合後の会見で、前半の途中から5バックにすることを考えていたという。実際に布陣をいじったのは後半頭からになるが、試合後の会見では、我慢したことを強調した。

 サイドで後手を踏むと5バックにする。この発想に何より疑問を覚えた。ドイツの右ウイング、サネは確かに強力だが、日本の左ウイング、三笘だって負けていない。伊藤がポジションを押し上げれば、サネは守備に追われる。

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