日本代表メンバーのポイントは冨安健洋の起用法 戦い方を語らない森保一監督の姿勢がわかる (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 2006年ドイツW杯に臨むジーコがそうだった。黙っていればいいのに、フース・ヒディンク率いるオーストラリア戦を前に先発メンバーを発表。3-4-1-2で戦うことを宣言してしまった。1-3というスコアは逆転負けだったが、意外でも何でもなかった。試合前から結果はわかっていた。この監督では勝てるはずがないと、残念な気持ちになったことを思い出す。

 森保監督に対する残念な思いとは種類は違う。正直すぎたジーコより、ある意味でタチが悪い。代表監督がこの姿勢では日本サッカー界に進歩はない。たとえば欧州で、森保監督的な監督を見つけ出すことは難しいだろう。いたとすれば、さっそく非難の対象になっているはずだ。

 同じドイツ戦と言っても、今回は親善試合だ。しかもアウェー戦である。0-3で敗れても、可能性を感じさせる内容ならば批判は極力、控えるつもりだ。なぜ戦い方について森保監督ははぐらかそうとし続けるのか。ここまで不明瞭な代表監督は珍しい。日本サッカー界の普及発展に貢献しているとは思えないのである。

 冨安がCBに入り、3CB態勢を築かないことを祈るばかりだ。

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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