欧州遠征に臨む森保ジャパンにオススメの新戦力 各国で台頭著しい新鋭の登用を望む (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

「一発目のトレーニング、ビルドアップだったんですけど、そこで、右足、左足を使ってポンポンとパスを通したんです。それで、みんなの見る目が変わったのを感じました。この日本人は何なんだって!

 それで開幕戦は負けたけど、いいセービングもできて。プレーで見せると、自分の言葉にも反応してくれるようになって、早い段階でひとつ目の壁はクリアできました」

 海外挑戦する日本人GKの多くが、まずはコミュニケーションのところで苦労するが、高丘は難なく乗り越えた。チームにはセルビア、スコットランド、オーストリア、パラグアイ、ベネズエラ、カナダ、アメリカとさまざまな国の代表選手がいて、それぞれの主張も強いが、そのよさを組み合わせた守備を作ることに成功している。

 また、有力選手との勝負も強力な刺激だ。

 昨シーズン王者のロサンゼルスFCとの対戦(4月/CONCACAFチャンピオンズリーグ)では、ガボン代表アタッカーのデニス・ブアンガのシュートに衝撃を受けたという。Jリーグで感じたことがない球威で、失点を喫した。しかし今年6月の再戦(リーグ戦第21節)では、アウエーでの勝利に貢献。高丘自身も成長の手応えがあった。

 一方、レアル・ソシエダでも活躍した元メキシコ代表カルロス・ベラ(ロサンゼルスFC)の左足の一撃には、"世界"を感じた。

「ベラは最後の瞬間、左足で(バウンドを生かして)上に蹴り込んできました。甘いコースはすべて消していたのに、その上をいかれた。横浜FC時代、松井(大輔)さんがよくやっていた技で」

 高丘は楽しい声音で言う。

 世界では、打ち負かしたと思っても発見の連続である。Jリーグでは経験できない迫力のクロス(高さ)やパワーシュートを受けることで、ポジショニングやステップを細かく修正。ゴールキーピング全体を格段に向上させてきた。絶対的なGKになるべく、あらゆる穴をなくし、PKストップに対してさえ、不断の努力だ。

「過去のW杯で日本がPKで勝ち上がれなかった姿を見てきて、そこで勝ち上がれるGKになれるように、自分を追い込んで」

 そう語る高丘はコロラド・ラピッズ戦(リーグ戦第10節)、見事にPKをストップし、現地で話題になった。映像データ、試合での肌感、向き合った相手との波長などで複合的に判断し、ストップする自信がついてきたという。

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