長谷川唯と長野風花、なでしこボランチコンビの信頼関係 セカンドボールを回収してゴールへ!

  • 早草紀子●取材・文・撮影 text&photo by Hayakusa Noriko

 女子ワールドカップ決勝トーナメントで、なでしこジャパンに前回大会のラウンド16を超える勝利を呼び込んだのは"セカンドボール"の回収だった。ノルウェー戦でケアすべき最大のポイントは、彼女たちの高さ。前線は170cm以上の長身揃いで、日本が高さで競り勝つことは難しい。相手を揺さぶり、セカンドボールをどこに落とすのかを見極め、それを拾い、攻撃に転じるーーそれが日本の狙いだった。

アイコンタクトひとつで連係を取るボランチの長谷川唯と長野風花アイコンタクトひとつで連係を取るボランチの長谷川唯と長野風花この記事に関連する写真を見る 最終ラインや最前線で競り落とされたボールを90分間回収し続けたなでしこジャパンの中心にいたのが、長谷川唯(マンチェスター・シティ)、長野風花(リバプール)のボランチコンビだ。

「話し合いをしなくてもアイコンタクトでわかる」(長谷川)というほどの連係と相性のよさ。長野がやや引いて守備的に、長谷川は高めに位置取りをして攻撃に絡むのがベストスタンスだった。

 しかし、この試合ではあえてふたりとも低めの位置取りからスタート。大会に入ってからルーズボールがどこに出てくるかの予測に磨きがかかっている長野は、ノルウェー戦でも秀逸な動きを見せた。常に相手選手との間に入り、攻守でパスコースを確保しながら、ボールを捌く。

 長谷川もしぶとく、鋭くプレッシングに行き、相手の出方を見定めて慎重な立ち上がりだった。しかし、相手が引いてくることがわかると長短を絡めて変化をつけるパスを前線に供給し始める。極めつけは、勝ち越しゴールにつながったペナルティエリア内への飛び出し。「意識していた」という長谷川の動き出しから一度はボールを奪われるものの、清水梨紗(ウェストハム)のゴールが生まれるプレーとなった。結果は3―1で勝利。準々決勝進出を決めた。

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