「さすがはA代表」の結果だったペルー戦は強化として理に適うものだったのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 その一方で、久保を除けば、今回パリ世代(22歳以下)から唯一の招集となったMF川﨑颯太は、2試合を通じて出場機会はなし。森保一監督によれば、「少し足を痛めていたので、この強度のなかでプレーするとケガのリスクがある」とのことだったが、3月シリーズに招集されたパリ世代の選手を含めても、試合に出場できたのはDFバングーナガンデ佳史扶だけ。DF半田陸も川﨑同様、試合出場の機会がないまま3月のA代表活動を終えている。

 パリ世代には、国内外を問わず、所属クラブで出場機会を減らしている(失っている)選手が多く、そもそもA代表招集に値する選手が少ないのは確かだ。

 力が足りないから試合には出られない。それだけのことだと言われてしまえば、返す言葉がない。

 しかしだからこそ、パリ世代の選手をA代表に抜擢し、世代全体に刺激を与えることも必要なのではないだろうか。せっかくA表に呼んでも試合で使わずに帰してしまうのでは、その波及効果は半減だ。

 ましてU-22代表は、3月、6月とA代表が親善試合を行なっているのと時を同じくして、ヨーロッパ遠征で強豪国との対戦を重ねているのである。どうせA代表に呼んでも試合に出られないのなら、U-22代表の活動を優先させたほうが、選手にとってもよほど有益なのではないだろうか。そこにチグハグな印象があることは否めない。

 確かに、ペルー戦はいい試合だった。

 だが、日本代表(A代表)に求められているのは、3年後の成果であり、今の試合結果や試合内容は、それほど重要なものではない。

 そして3年後に結果を残すためには、五輪世代(U-22代表)の台頭が必要不可欠であることは、これまでの歴史が証明している。

 A代表とU-22代表との戦力的乖離。それをいかに縮めていくかが、3年後の成果を最大にするためのカギである。

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