日本代表のGKは本当にこの3人がベストなのか 「リベロプレー」を求めるなら他にも候補者はいる (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

【スタイルがひとり異なる中村航輔】

「圧倒的なプレーを見せられるようになりたいですね」

 昨シーズンが終わった後、高丘は野心的に語っていた。

「まだまだ課題はあって、たとえばハイボールの対応でのポジショニングや一歩目の出し方とか。(親善試合で)ローマと対戦して、単純な体格とか、キックの重さも体験して、世界基準でプレーすることも意識するようになりました。より高い目標を持って、これからも細部までこだわって、一日一日、積み上げていくしかないですね」

 異国で成長を続けるJのベストGKに目を向けるべきだろう。

 もうひとり、サガン鳥栖の朴一圭も過去3年、Jリーグで1、2を争うゴールキーピングを見せている。今シーズンもセーブ率はJ1トップクラスで、多くの決定機を防いでいる。とりわけ、ギリギリまで見極めたシュートストップとクロスへの対応の技量は増した。

 何より、朴はリベロGKとして名を馳せる。ハイラインの裏をカバーし、ビルドアップの出口となり、一気にプレスを解放する縦パスは見事で、時に鋭いロングパスで好機を作っている。能動的サッカーを信奉する鳥栖の戦術を司る存在だ。

「周りが『戦術はパギ(朴の愛称)ありき』と言ってくれるのは嬉しいです。でも、GKというポジションはひとつしかないし、それは自分で取っただけで、誰かに取られるかもしれない。ひとつひとつのプレーに、いつも人生がかかっていて。そういうプレッシャーを自分にかけながらやっています」

 朴はそう言う。その真剣さが彼をひとりのGKとして磨き上げた。昨年、日本国籍も取得しており、代表に選ばれるだけの資格はあるだろう。

 それに対して、ポルトガルで定位置を取った中村のプレースタイルは"面よりも点"で、神がかったセービングを見せるGKであり、ここまで列挙してきたGKとタイプは違う。しかし、実力も実績も破格であり、選ばれないのは不当だろう。圧倒的ダッシュ力を生かした1対1や俊敏なシュートストップで、定位置争いを活性化するだろう。

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