日本代表のGKは本当にこの3人がベストなのか 「リベロプレー」を求めるなら他にも候補者はいる (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

【ベスト11でも選ばれなかった高丘陽平】

 日本代表のカタールW杯時のGKは、権田修一(清水エスパルス)、川島永嗣(ストラスブール)、シュミット・ダニエル(シント・トロイデン)だった。それが3月のウルグアイ戦、コロンビア戦はシュミット・ダニエル、大迫敬介(サンフレッチェ広島)、谷晃生(ガンバ大阪)に。そして今回はシュミット・ダニエル、中村、大迫の3人となった。

3月のウルグアイ戦、コロンビア戦でゴールマウスを守ったシュミット・ダニエル(シント・トロイデン)3月のウルグアイ戦、コロンビア戦でゴールマウスを守ったシュミット・ダニエル(シント・トロイデン)この記事に関連する写真を見る 森保監督がカタールW杯後に権田修一と決別したのは英断と言える。所属クラブを降格させた結果は重く、プレーに波があるのは明らかだった。何よりボールを持つことを考えるなら、リベロプレーに適応できるシュミット・ダニエルを一番手に据えたのは整合性が取れる。

 ただ、他の選考は「推し」が透けて見えないか。

 今シーズンの谷晃生は、ガンバ大阪の"編成ミス"に巻き込まれたこともあって(実力者でタイプの違う東口順昭とのポジション争いを強いられる)、完全に調子を崩している。今回のメンバー外は当然だろう。また、今回も選ばれている大迫は、谷と同じ東京五輪世代で、デビューシーズンこそ刮目すべきプレーを見せたが、その後は「2年目のジンクス」か調子を落としており、そこから復活しつつあるとはいえ、将来有望なGKのひとりにすぎない。

 若い2人は、タイプ的には足元がうまく"新・森保ジャパン"に適合するGKとは言えるのだが、候補者はほかにもいる。

 昨シーズン、横浜F・マリノスの優勝に大きく貢献し、Jリーグのベストイレブンに選出された高丘陽平(バンクーバー・ホワイトキャップス)は、谷、大迫以上に招集に値するGKだろう。言わば昨季のJリーグ最優秀GKであるにもかかわらず、国内組で挑んだE-1選手権の代表メンバーにも招集されなかったのはミステリーだった。

 高丘は今シーズン、MLSのバンクーバー・ホワイトキャップスから熱烈なオファーを受け、代表を飛び越えて海を渡った。すぐに定位置をつかみ、4月は無失点で月間MVPにも選ばれている。大柄でパワーのある相手に対して互角の勝負を演じ、適応力の高さも示している。そしてビルドアップだけでなく、得点につながるパスが出せ、なおかつ技術を見せびらかすようなミスもない。

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