日本代表メンバーに10代の選手はゼロ「変わらなければいけない」のは日本ではなく、選ぶ側の森保一監督だ (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

【知名度の高い選手を外せない理由】

 将来を嘱望される18歳の代表選手にとって、U-20W杯に出場することと、マンチェスター・シティと戦うこととどちらが有益か。将来のためになるか。答えは見えている。

 18歳でアルゼンチン代表に選ばれる理由は、もちろん能力が高いからだろうが、代表チームにそうした若手選手が入り込む余地があるからでもある。ベストメンバーでは常に戦わない文化である。チームの核となる実力者でもあえて招集しない。手を抜くわけではないが、あえて休ませるという考え方が普通に浸透している。

 日本にその文化はない。日本代表戦といえば、国立競技場を満杯に埋めたなかで行なわれるものと決まっている。強化と言いながら、実際は半分、興行だ。そこにはテレビの視聴率やスポンサーのしがらみも関わっているものと推察される。三笘、久保、鎌田ら知名度の高い中心選手は、そうした意味で外せない選手になっている。エルサルバドル、ペルーを相手にした場合でも、だ。

 この日本代表を取り巻く産業構造下に、10代の若手をせっせとテストする余地は存在しない。監督、協会首脳陣の保身もあるだろう。代表は常に勝たなければいけない集団だと称し、勝ちやすいメンバーで臨もうとする。

 10代の選手が代表チームにいないのは、まさに代表監督の責任であり、サッカー協会の責任だ。「変えていかなければならない点、変わっていかなければならない点」と言う森保監督の言葉は、どこか他人事に聞こえる。21歳の川﨑を加えただけで、さすがと持ち上げるナショナルチームダイレクターも同様に見える。

 その次に投げかけられたのは以下の質問だった。

「落選した町野、伊藤涼太郎(アルビレックス新潟)、大迫勇也(ヴィッセル神戸)は当落線上だったのか」

 森保監督はこう答えた。

「ここにいるメディアの皆さんもそうですし、この映像をいま見聞きしているファンの方もそうですが、それぞれ推している選手がいて、フラットに見ていると言っても、人それぞれ違うと思います......(中略)......誰かを推すという話をするときには、皆さん、誰を外すかという話も同時に準備して質問していただけたらと思います」

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