U-22日本代表の田中聡が明かす「騙したわけではない」ベルギー移籍の真相とサッカー人生初の挫折 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 電撃的に決まった移籍ではあったが、田中は幸いにして、コルトレイク入り直後から公式戦出場の機会を得た。

 移籍後初戦となったリーグ戦第6節に途中出場すると、続く第7節に先発起用され、フル出場。以降、第13節まで先発出場が続いた。

「自分も結構コンディションがよかったですし、入ってすぐに自分の長所をたくさん出せたので、監督とか、チームメイトとかにも、自分はこういう選手なんだっていうのを伝えられたと思います。最初の練習から自分的にもすごくいいアピールができたので、スタメンをとることができたのかなと思います」

 ところが、ケガもあって第14、15節を欠場すると、これを境に状況が変わり始める。

 第16節に途中出場で復帰するも、その後の先発出場は3試合のみ(第31節終了時点)。控えからの途中出場でさえ3試合にとどまり、特に年明け以降はベンチを外れことも多くなった。

「監督が3人変わったり(2度の監督交代)、チームメイトが急に次の日(移籍して)いなくなったりとか、日本ではないようなことが、いろいろと起きた半年でした。ただ、ベルギーへ行っていろんな経験ができたことは、すごくポジティブに捉えています。試合に出る、出ないに関しては、本当に自分の実力、自分次第だと思っているので。そこは他責にしないで、自分に矢印を向けてやっています」

 試合出場を重ねるなかで、田中自身、課題を感じるようになっていたことも確かだった。

「ベルギーへ行った当初は、下位のほう(のクラブ)との試合だったので、自分的にも『結構やれるじゃん』っていう手応えがあったんですけど、途中からだんだんレベルの高い相手とやるようになって、『あれ、全然違うな。これがベルギーのトップなのか』っていうのを示されて。自分はフィジカル的なところを売りでやっているのに、余裕で相手に負けてしまったりとか、なかなか思うようなプレーができなくなってきました」

 そこでは、湘南時代を思い返すこともあったという。

「『もっとオレ、やれるのにな』っていう思いがあって。まあ、そこも含めて自分の実力不足なんですけど。

 日本にいた時みたいに、思いっきりプレーするとか、がむしゃらにプレーするとかっていうことがちょっとできなくなってきたというか、少しいろんなことを考えすぎてしまう。それでも監督は使ってくれていたので、そのなかでチャレンジして、トライして、少しずつできることも増えてきましたけど......、ベンチ外になったりしているのが現状です」

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