町野修斗「這い上がってやる」精神でJ3→J1→日本代表へ...移籍後の「外すんじゃないか」の空気もゴールで吹き飛ばした (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

 でも、プライドがどうとか言っていられる余裕というか、立場でもなかったので、ここでがむしゃらにプレーして結果を残してやろうと、切り替えることができました。今以上に年齢的に若かったこともありましたしね」

── 北九州では、やはり公式戦を戦う、実戦を経験する大切さも感じたのでは?

「本当にそこは実感しました。F・マリノスでは、年間で練習試合も含めて片手で数えられるくらいしかプレーする機会がありませんでした。そうした状況で1年間を過ごしていただけに、ギラヴァンツで試合に出場できて、めちゃめちゃ幸せでしたし、楽しかったですし、改めてサッカーっていいなって思いながら過ごすことができていました」

── そのなかで自信が芽生えたのは、いつごろからでしょうか?

「J2に昇格した2020年に、前半戦だけで7ゴール7アシストを記録できた時ですね。このまま頑張って続けていれば、J1のクラブに声をかけてもらえるかもしれないと、思えるようになりました」

── その予感どおり、2021年には湘南に加入してJ1でプレーする機会を掴みました。昨季は13得点という結果を残していることを考えると、4得点に終わった湘南での1年目と2年目でも成長の幅を感じているのではないでしょうか?

「やっぱり、ベルマーレに加入した2021年は、自分自身にまったく余裕がありませんでした。もう、ただ、ただ、がむしゃらにやっているだけという感じで。余裕もなければ、点も取れない。シュートを外しまくっていた1年でした。

 それもあって、周りからも『あいつなら決めてくれるだろう』という空気が感じられなかった。どちらかというと『町野にチャンスが来ても、また外すんじゃないか』という雰囲気があったように感じていました」

── 自分自身で、そうした空気を感じ取っていたということですか?

「もちろん、チームメイトはあからさまにそうした態度を取るわけではないですけど、シュート練習で外すといじられてしまったり、普通のシュートを決めただけで過度に褒めてもらえたり。そういう自分が悔しくて......。

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