サッカー日本代表は「かたちだけにとらわれている」 コロンビア戦ではビルドアップができず、何も得られない時間帯も過ごしていた (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

【左サイドの新コンビは良好に見えた】

 また、この試合ではビルドアップ時にサイドバックが内側のレーンに立ち、ウイングへのパスコースを空けるという試みも、継続された。その狙いが垣間見えたのが、前半8分のシーンだ。伊藤のパスを受けた大外の三笘が、内側に立つバングーナガンデにダイレクトパス。その次のパスがミスになって相手に回収されたが、バングーナガンデのプレー精度次第では、ひとつの成功例になった可能性はあった。

 前半19分にも、守田がCBの間に落ちてビルドアップを開始した日本は、伊藤が内側レーンに下がってきた三笘に縦パスを供給。その時、入れ替わるようにバングーナガンデが大外にローリングしたため、その動き気にした21番は三笘までついていけず、三笘がフリーでパスを受けることができた。三笘から西村へのパスがずれたためにチャンスを作れなかったが、左サイドの2人の関係は良好に見えた。

 この左サイドの関係性を生かし、狙いどおりの攻撃のかたちを作れたのが38分。板倉の縦パスを鎌田がフリックし、ボールを受けた町田が守田に落とすと、守田は内側レーンのバングーナガンデにパス。反転したバングーナガンデが大外の三笘に預け、三笘が左サイドからクロスを供給し、ファーの伊東がボレーシュートを狙うシーンを作った。

 伊東が空振りしてフィニッシュには至らなかったが、このシーンは、開始3分の先制ゴールのシーン以上に、再現性を期待できそうな攻撃だった。

 回数は限られていたが、そういう意味では、伊藤が本職ではない左SBを務めたウルグアイ戦と比べ、この試合ではFC東京の左SBが先発したことが、新しい試みを一歩前進させられた要因と言えるのかもしれない。

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