日本代表の問題が浮き彫りになったウルグアイ戦 鎌田大地とバルベルデ、そして指揮官の指導力の「差」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

【一流クラブで何人プレーすることができるか】

 難しいバウンドとなったボールを、身体をたたむように右足のインステップで合わせた弾道は、まさに胸のすくような鮮やかさで、日本ゴールに向かっていった。ポストに跳ね返ったボールをバルベルデ自ら頭で押し込み先制ゴールとしたわけだが、日本の残念な失点シーンながら、筆者にとっては世界のトップのプレーを目の当たりにし、幸福感に浸った瞬間でもあった。

 監督が選手になりすましているかのような、監督級の頭を持つ選手。同じ布陣で戦う日本の1トップ下、鎌田大地との差を痛感することにもなった。鎌田が特段悪かったわけではない。光るプレーも見せたが、あくまで局所的で、その分線が細く、頼りなげに見えた。

 それは、チャンピオンズリーグ(CL)決勝レベルを毎シーズン、コンスタントに戦う選手と、今季初めてその決勝トーナメント1回戦を戦うも、ナポリに大敗したブンデスリーガ6位のチーム(フランクフルト)でプレーする選手との差、そのものだった。鎌田の移籍話のなかで、バルセロナも興味を示しているという報道も見聞きしたが、この日のバルベルデと比較すれば、そのレベルには一枚も二枚も及ばないことは明白だ。

 バルベルデと対峙した日本のゲームキャプテン遠藤航しかり。森保監督は、現在ブンデスリーガ最下位に沈むシュツットガルトという、CL出場にはほど遠いクラブでプレーする守備的MFに大きな信頼を寄せている。だが、2026年W杯を見据えたとき、それは物足りない姿に映る。

 CLの決勝トーナメントを常時戦うような一流クラブで何人プレーすることができるか。欧州組の数が増えたことを隔世の感だと言って喜ぶ時代は終わった。次元を切り替える必要に迫られているのである。バルベルデが披露した圧倒的なパフォーマンスは、レアル・マドリードに所属するプライドと密接な関係があることを知る必要がある。

 ウルグアイのブロリ暫定監督は、試合後「高い位置からのプレッシングに力点を置いた」と述べた。対する森保監督は試合前「ボールをできるだけ握った戦いがしたい」と述べ、試合後には「サイドバック(SB)をどうやって活かすか」に取り組みながら試合に臨んだことを明かした。

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