新生森保ジャパンのGK、サイドバック、1トップは誰になるのか 福田正博が各ポジションの現状と候補選手を分析 (4ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Fujita Masato

【新しい選手でも継続性を見せられるかが大事】

 FWやMF陣で言えば、新たな選手がどれくらい招集されるのかも楽しみな点だ。セルティックで存在感を示す旗手怜央は、カタールW杯前に日本代表に招集されているが、試合に使われることはなかった。今回は彼を招集したら、どのポジションで使うのだろうか。

 ほかにも、1年でドイツ5部から1部に這い上がった上月壮一郎(シャルケ)や、オーストリアのリンツで20試合11得点4アシストと目覚ましい活躍を見せている中村敬斗らにも注目が集まっている。

 上月も中村もともに2000年生まれの22歳。彼らにチャンスを与えるのも手ではあるが、日本代表入りには「継続性」も必要不可欠になる。

 W杯本大会などの大勝負を目前にしたタイミングなら、勢いを買ってチームに加える選択肢もあるが、これからの新たなタームというのは、次のW杯に向けて日本代表のレベルアップに軸足が置かれる。そうした時に戦力に必要なのは、数年先まで計算の立つという点だろう。その点で上月や中村は、まだ足りていない部分もある。そこを踏まえて、森保監督がどういう判断を下すのか。

 森保監督にとって、4年タームでのチームづくりは初就任した2018年からの4年間を1度目とすると、今回が2度目。ただ、日本代表の置かれた状況はまるで違う。ロシアW杯後は、主力選手の高齢化という課題があるなかで、「世代間の融合」を掲げてチームを刷新した。三笘、久保、冨安、板倉、堂安、前田など、すでに日本代表に欠かせない選手になっている彼らを、日本代表にまで引き上げた。

 彼ら東京五輪世代は、4年後はまだ30歳目前で、選手として脂が乗っているタイミングでW杯本大会を迎える。しかも、カタールW杯の日本代表から漏れた東京五輪世代の選手たちも力を伸ばしていて、東京五輪世代の充実が目立つ。

 一方、この状況は、その下のパリ五輪世代にとっては日本代表で出場機会を手にするのは生半可ではないことを示す。パリ五輪世代やその下の年代にも有望選手は少なくない。しかし、いまの日本代表は、彼らの成長を悠長に待つほどレベルは低くないのだ。パリ五輪世代が4年後のW杯のピッチで輝きを放ちたいと思っているのなら、まずは自チームで結果を残し続けて、日本代表に招集せずにいられないほどの存在になるしかない。

 いずれにしろ、この時期の親善試合は顔見世興行的な色合いが強くなってしまう。それだけに勝負への強度という点では、ワールドカップのようなヒリヒリした展開は望むべくもない。だが、ここで招集された選手たちが、ここから4年間を牽引する選手たちになるはずで、森保監督のもとでどんなサッカーを見せてくれるのか楽しみにしている。

福田正博 
ふくだ・まさひろ/1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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