2023年、ブレイクが期待される日本人サッカー選手は誰だ。「ベスト3」を識者5人が選出 (2ページ目)
代表歴のない実力者、鈴木優磨を応援したくなるわけ
杉山茂樹氏(スポーツライター)
1位=鈴木優磨(鹿島アントラーズ/FW)
2位=藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス/MF)
3位=藤井智也(鹿島アントラーズ/MF)
鈴木の選出理由は極めてシンプル。代表歴のない選手のなかでナンバーワンの実力者であるからだ。一度招集されながら故障で辞退した過去があるとはいえ、森保一監督との相性が最も悪い選手と言い換えることができる。
任期を満了すれば8年間となる長期政権は、同じ価値観に支配されそうな危うさを構造的に孕んでいる。鈴木のような選手が埋もれ続ける可能性がある。
鈴木が活躍すればするほど、この日本代表を取り巻く世界はいい意味で混沌とする。応援したくなる理由はそこにある。
昨季のベストヤングプレーヤー賞を獲得したのは細谷真大(柏レイソル)だが、筆者的には藤田だった。何より実力がある。守備50、攻撃50。どちらかに偏らない文字どおりのセントラルMFと言えば田中碧、守田英正を想起するが、2〜3年後は彼らを超えていると見る。
ジャン・ティガナ、エンゴロ・カンテ、マケレレ的であり、マウロ・シウバ、マジーニョ(チアゴ・アルカンタラの父)的でもある。アフリカ系フランス+ブラジルのテイストに新鮮味を覚える。
チームメイトだった昨季MVPの岩田智輝がセルティックに移籍したことで今季、出場機会は確実に増える。横浜F・マリノスの中心選手になるはず。楽しみだ。
今季、サンフレッチェ広島から鹿島アントラーズに移籍した藤井。ウイングが似合いそうなドリブラーが、5バックから4バックのチームに移籍すれば、より活躍できると考えるのが自然だ。ウイングバックより純粋なウイングのほうが持ち味は出る。
しかし、鹿島は川崎フロンターレや横浜FMとは違い、ウイング文化が希薄な4-2-2-2色の濃い、古いブラジル色が漂うチームだ。そこから大きく脱皮を図るつもりで藤井を獲ったのなら面白い。藤井の活躍と鹿島の成績は比例関係にあると見る。
三笘薫は日本サッカー史上最高のアタッカーになれる
原山裕平氏(サッカーライター)
1位=三笘 薫(ブライトン/MF)
2位=満田 誠(サンフレッチェ広島/FW)
3位=谷 晃生(ガンバ大阪/GK)
日本代表の視点で考えれば、"守護神"問題は喫緊のテーマだろう。先のカタールワールドカップでは、33歳の権田修一が守護神を務め、39歳の川島永嗣と30歳のシュミット・ダニエルがベンチに控えたが、4年後を見据えれば、20代のGKの台頭が求められることは言うまでもない。
カタール大会でも代表候補に挙がった22歳の谷には、さらなる成長への環境が整う。今季より、古巣のガンバ大阪に復帰し、東口順昭とのハイレベルな定位置争いに身を投じる。東口からポジションを奪い取り、G大阪の守護神としての地位を確立できれば、代表でも存在感は高まるはずだ。
アタッカーでは満田に注目したい。大卒1年目からポジションを確保し、ルヴァンカップの優勝にも貢献。リーグ戦では9得点、8アシストと目に見える結果も残している。佐藤寿人の11番を継承した今季は、主軸としての自覚も強まるはずで、広島の新たなエースとしての飛躍が期待される。
三笘に求められるのは、ビッグクラブへのステップアップだろう。プレミアの屈強な守備者たちを翻弄するパフォーマンスを踏まえれば、すでにその資格を有していると見るのが妥当だ。そのうえで、主力としての地位を確立することができれば、日本サッカー史上最高のアタッカーにもなれるだろう。
日本代表の未来を占ううえでも、この男のさらなるブレイクは重要な事象である。ワールドカップ以降のパフォーマンスを見る限り、決して夢物語と思えないのだから、期待は高まるばかりだ。
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