サッカーマニア平畠啓史さんが注目しているカタールW杯の面白ポイント。「エムバペは早くオチがほしい今の時代が求めた選手」 (2ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

日本はピンチを防いでも喜びすぎない

 ワールドカップの組み合わせ抽選会を見ていた時、日本がグループEに入った瞬間、腰がくだけました(笑)。

 先にスペインとドイツが同じグループになった時点で「おお、このグループ凄いことになった!」と思ってたんです。いざ日本の抽選になった時に、まだグループEが空いていたんでやばいぞって思ってました。

 部屋で一人で座って見ていたんですが、日本の番が来た時はなぜか立ち上がっていたんですよね。日本がグループEに入った瞬間、「アカン!」って大声で叫んで腰がくだけました。ちょっと近所迷惑だったかもしれないぐらい、大きい声が出ました(笑)。

 それから「でもやっぱりいけるんじゃない」って思ったり、「いやいや、やばいよなぁ」っていう思いの波が今もずっと繰り返しています。でも最初は「アカン!」って思ったのは正直なところです。一番入ってほしくないところに入っちゃったので。ワールドカップはどのグループも難しいんですが、それでもここかよっていう(笑)。あの瞬間「やったー」とは普通ならないですよね。

 ドイツは、新しいドイツ代表に生まれ変わってきている時期ですよね。試合を見ていると、切り替えの速さがあり、縦に速い印象です。あまり幅をとるようなサッカーではなく、どちらかというとペナ幅で縦に進んでいくような攻め方。プレーの強度は、ドイツらしさが相変わらずありますよね。

 全体的に隙がない。予選ではいろんなメンバーを試していましたが、ネーションズリーグでだいぶ骨格が固まってきた印象です。GKはマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンとマヌエル・ノイアーのどっちが出るのか楽しみですね。どっちが出てきても世界最強クラスのキーパーです。

 日本からすると、初戦で戦えるのはよかった部分もあるかなと思います。ドイツのように優勝を目指していく国は、1試合目からコンディションをピークに持ってくることはないと思うので、逆に日本がピークを持っていければ面白いゲームになるんじゃないでしょうか。初戦はどの国にとっても緊張があるものですから、日本にもチャンスがあるはずです。

 対ドイツで僕が広めたいのは、ピンチを防いだり、ボールを取ったあとに喜びすぎないことなんです。ドイツは攻撃から守備の切り替えがものすごく速いので、ボールを取られた瞬間ガッときます。だから日本がボールを奪った時は、逆に危ないと思っておいていいぐらい。

 また後ろでゆっくりとボールを回しても、刈り取られる危険があります。ドイツはセンターバックのアントニオ・リュディガーもニクラス・ジューレも、前にがんがんボールを持ち運ぶのでその分裏が空きやすい。日本は前線がクイックネスで勝るところもあるので、ボールを取ったら手数をかけずに裏へポーンと落とすボールをどんどん使っていったら面白いのかなと思ってます。

 コスタリカは情報がないからこそ楽観的にとらえる自分と、「いやいやこういう国こそ危ない」と悲観的になるふたりの自分がいます(笑)。

 ドイツ戦の結果次第でコスタリカとの戦いは変わってきますよね。またコスタリカ対スペインの試合を見てから臨めるので、いろいろと準備できるところもあると思います。ドイツ戦で勝ち点1でも取れていれば、この試合に向けてのモチベーションは大きく変わりますよね。1戦目は試合内容が悪くても勝ち点1を取る戦いでもいいんじゃないでしょうか。

 コスタリカについて知ってるのはケイロル・ナバスぐらいですもんね。GKの情報だけ持っててどないすんねんってところですが(笑)。今、日本人でコスタリカの情報を持っている人は、メディアにひっぱりだこなんじゃないでしょうか。

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