ザッケローニが語る日本代表。カタールW杯でグループリーグ突破は「難しいとは思わない」 (3ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

ドイツ、スペインを過剰に恐れるな

――つまりテクニカルや能力に問題があったのではなく、メンタルの問題だったと?

「そのとおり。日本の選手は世界でも稀有な特徴を持っている。スピードもあるが、耐久力もある。これは遺伝的なものなのかもしれないが、ヨーロッパの選手は、始めこそスピードがあるが、しばらくするとへばってしまい、その後はがっくり速さが落ちてしまう。ところが日本人は95分になっても走り続けられる。決して疲れない。

 長友佑都を覚えているか? まるで体のなかにモーターバイクを持っているみたいだ。日本人はドイツ人のように大きく強靭ではない。そうした部分では確かに不利な面もあるだろう。しかし日本人には日本人の強みがある。それを生かせば決して引けは取らないと思うね。

 スペインやドイツという名前に恐怖心を抱かず、『俺たちだって強いんだ、何が何でも勝ちたいんだ』という正しいメンタリティをもって対峙すれば、結果は必ず出るはずだ。とにかく相手にW杯優勝経験があることを過剰に評価しないことだ。過去は過去、現在は現在だ。『結果は出せなくても、強豪相手にいいプレーをすることに意義がある』などといったきれいごとを考えず、本気で勝ちにいくことが重要だ」

――世界で戦うのに日本人は経験不足というのは、もう過去の話ですね。

「そうなんだ。ほとんどの代表選手がヨーロッパでプレーしているから、戦い方はよくわかっているはずだ。だからたとえばメッシを前にした時は、彼やアルゼンチンのこれまでのキャリアを考えてはいけない。頭からそうした先入観を一切排除し、劣等感など抱かず向き合うことだ。そうでなければ絶対に勝つことはできない。私が日本代表を率いていた頃、私はそれを何度も試みたが、結局、選手の頭から恐怖をすべて取り除くことができなかった。しかしあれからもう10年が経つ。こうした面での成長もあったことを期待している」

――現在の日本のスター選手は誰だと思いますか?

「南野拓実だろうね。誰よりも才能があり、突出して光っている。必要な時に彼が本領を発揮できることを願っている」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る