今野泰幸が「これはヤバい」とブラジルW杯で味わった恐怖。コロンビアにPKを与えたプレーの真相も語った (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

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 最終戦の相手は、グループ最強と目されていたハメス・ロドリゲス擁するコロンビア。それだけに、ギリシャ戦には是が非でも勝って、グループリーグ突破の可能性を少しでも広げておきたかった。最大の難敵との試合を前にして1分1敗という状況は、同じく「史上最強」と言われながらグループリーグで敗退したドイツW杯の時と近いものがあった。

「ギリシャ戦後はみんな、ガクンと気持ちが落ちて、チームの雰囲気は最悪でした。本当に崖っぷちに追い込まれてしまって、焦りとか、不安が大きかったと思います。ただ、強気な選手が多かったので、自信を失う、というところまではいかなかった」

 グループリーグを突破するには、コロンビア戦での勝利が必須となった。2試合でわずか1点と、大会前にはゴールを量産していた攻撃陣が沈黙。その悔しさもあり、そのうえ追い込まれたこともあって、紅白戦では一段と攻撃的になった。

「絶対に勝たないといけないので、超攻撃的になって、最終ラインは自分と(吉田)麻也だけになっていました。それでも、紅白戦では相手が同じ日本人だから対応できるんですが、本当の相手はコロンビアですからね......。

 めちゃくちゃ能力が高いので、怖かったです。そう思ったのは、(2013年8月に)宮城スタジアムで行なわれたウルグアイ戦(2-4)以来です。(ルイス・)スアレスがいて、(ディエゴ・)フォルランがいて、まだ何もやられていないのに『これはやられる』といった感覚に陥って、本当に恐怖しかなかった」

 コロンビア戦の序盤から、今野は同様の恐怖にさらされた。

「試合が始まってすぐ、ですね。(コロンビアは)パス回しのスピードが速くて、トラップがピタッと止まるんです。それを見て、『これはヤバいレベルだ』って思いました。

 危ないから、ちょっと引いて守備を修正しようと思ったけど、とても"修正"ぐらいで対応できるようなレベルじゃなかった。もっとも自分が『引いて守ろう』と言ったところで、(他の選手たちに)『何言ってんだ』って言われていたでしょうけど......。

 いいテンポでパスをつながれると、どこか(のスペース)が空くじゃないですか。前を向かれた時なんて、(相手の)やりたい放題になっていましたから、そりゃ怖かったですよ」

 立ち上がりから圧力をかけられ、恐怖を植えつけられたことが、今野自身のプレーにも影響した。前半16分、スルーパスに反応したFWアドリアン・ラモスに対して、今野は果敢にスライディングしていった。

 ラモスが倒れてPKを献上。先制点を許した。

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