日本代表で最長時間出場。4年間で成長した遠藤航が振り返るオーストラリア戦

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 遠藤航には代名詞とも言える3つのストロングポイントがある。

 ひとつはドイツ・ブンデスリーガでも結果を出している1対1の強さだ。2020-21シーズンはその勝率がブンデスリーガでナンバーワンになった。

 ふたつ目は「鉄人」と言いたくなるようなそのタフさ。シュツットガルトでは今季ここまでのリーグ戦全27試合に出場している唯一の選手であり、4試合を除いてフル出場を果たしている。昨年は、フル代表はもちろん夏東京五輪にも参加しており、ドイツのメディアでは「信じられない」「休むべきだ」との論調が絶えない。どうしても休まない遠藤の練習量を、それとなく調整するペッレグリーノ・マタラッツォ監督が賞賛されるほどだ。

 そして最後がキャプテンシー。リオ五輪など世代別代表でキャプテンを務め、今季はシュツットガルトでも監督やスポーツディレクターから指名される形でキャプテンを務めている。今回のW杯予選でも、欠場した吉田麻也に代わって2試合でキャプテンマークを巻いた。

オーストラリア戦でも日本代表に安定をもたらしていた遠藤航オーストラリア戦でも日本代表に安定をもたらしていた遠藤航この記事に関連する写真を見る 遠藤のその3要素は、この予選でもフルに発揮された。最終予選ではここまでの9試合で、73分に退いたホームの中国戦以外の8試合はフル出場。フィールドプレーヤーとしてはもっとも長い時間、ピッチに立った。5試合連続のクリーンシートに貢献したと言っていいだろう。

 今では当たり前にフル出場する遠藤だが、前回のロシアW杯の予選時ではベンチ入りするどうかの存在だった。W杯本大会では、メンバー入りしたものの、試合には1分も出ることができなかった。2018年まではチャンスを掴みきれなかった遠藤にとっては、その分今回の予選への思いがあった。

「個人的には、ロシアW杯とか、前回の最終予選でロシアW杯出場を決めた試合(2017年8月のオーストラリア戦)を上から見ていた(ベンチ入りできずスタンド観戦していた)時に、自分もここ(試合のピッチ)に立ちたいと思っていたし、ボランチとして自分のポジションを奪うんだという気持ちでずっとやってきた。実際それを実現できているということで、僕も成長は感じています。逆に言うと、イメージどおりというか、最低限、仕事をこなせたかなというイメージも一方ではあります」

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