日本代表のコンビネーション不足は中国戦でも明らか。森保監督はいつまで放置するのか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 寒風吹きすさぶ埼玉スタジアムで行なわれた中国戦。日本は2-0で勝利したが、お寒い試合内容であることに変わりなかった。

 キックオフから相手のハンドで得たPKを大迫勇也が決めるまでの13分間を見る限りでは、引き分ける可能性も十分あると思った。2-0の勝利は予想できなかった。

 事件は好ましくないムードに陥りそうな気配が、ぷんぷん漂い始めたその矢先に発生した。伊東純也がゴールライン際から折り返したボールが、中国DFの腕にヒット。カタールの主審、アブドゥル・ラフマン・アルジャシムさんはためらうことなくPKスポットを指した。運を感じずにはいられなかった。

 これをもって、森保一監督は「持っている」とポジティブに捉えるか。運を使ってしまったとネガティブに捉えるか。サッカーは結果に占める運の割合が3割と言われるが、不運ばかり続くことも、幸運ばかり続くこともない。サッカー史を振り返れば、サッカーの神は、世界の各国のチームに運をバランスよく配分していることがわかる。

 次が心配になるPKだと言いたくなる理由は、PKで先制してもなお、森保ジャパンのサッカーがパッとしなかったからだ。緊張感から解放され、いいサッカーに転じるかと思いきや、中身はそのまま改善されずじまいだった。

日本の攻撃を唯一、活性化させていた伊東純也のウイングプレー日本の攻撃を唯一、活性化させていた伊東純也のウイングプレーこの記事に関連する写真を見る 吉田麻也、冨安健洋の両センターバック(CB)を欠く問題は、杞憂に終わった。中国に押し込まれる時間帯がほとんどなかったからだ。とりわけ従来、主将格だった吉田の役を演じた谷口彰悟は、安心感のあるボール操作術で、後方を鎮めることができた。失点の心配は抱かせなかった。ドタバタしたシーンもなく、試合の興味は、得点をどうして奪うかに絞られた。

 CBとして先発した谷口、板倉滉の2人以外は、予想どおりのスタメンだった。しかし、代表チームにおいて、スタメンが空で言える状態ほど危ないものはない。集団が循環していないことの証であるからだ。入口も出口も常に開放された状態にあるのが代表チーム。循環する宿命にあるにもかかわらず、予想どおり。前回のデキがものすごくよかったのならいざ知らず、まったくそうではないわけだ。大方のファンが変わってほしいと願うなかで、森保監督は同じカードを出してきた。ほぼ前回流用で臨んだ。

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