大勝した日本代表の出場メンバーに抱いた違和感。左利きがゼロだった (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 岸本勉●写真 photo by Tsutomu Kishimoto

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 前回のモンゴル戦で、筆者は、4-2-3-1の3の左で先発した南野拓実(サウサンプトン)が、気持ちよさそうにプレーできていないと記した。適性が左サイドではなく真ん中(1トップ下)にある選手だと述べた。

 しかし、そのポジションには、ドイツでブレイク中の鎌田大地(フランクフルト)がいる。この南野と鎌田の問題を、森保監督は布陣を4-3-3に変更することで解決した。モンゴル戦の後半、両者はそのインサイドハーフに収まり、きれいに共存することになった。

 4-3-3は、外せない2人をいかにして共存させるか、悩んだ末に生まれた選択肢だった。今回のミャンマー戦も、スタートは南野を左に置く4-2-3-1だったが、後半17分から、南野と鎌田をインサイドハーフに据える4-3-3に変更した。

 守備的MFのひとり守田英正(サンタクララ)を削り、原口元気(ハノーファー→ウニオン・ベルリン)を左に投入する戦術的交代を行なうことで、両者はピッチ上にきれいに収まった。しかしそれでも、日本のサッカーは、音程が微妙にズレるような、瞬間、瞬間でいちいち気になる違和感をそこはかとなく発露させていた。

 前回モンゴル戦は、左サイドバック(SB)で小川諒也(FC東京)がフル出場した。小川は左利き。前回と今回の違いはこの左SBにあった。

 ミャンマー戦で先発を飾ったのは、前回は新型コロナの影響で招集が見送られた長友佑都(マルセイユ)だった。今回で代表キャップ123を数える右利きのベテラン左SBが、フルタイム出場を果たした。したがって、南野が4-2-3-1の3の左でプレーした後半17分までも、原口元気がプレーしたそれ以降も、左サイドには右利きが2人並ぶことになった。

 それが違和感の源である。ピッチの左サイドにいる2人が、2人ともほぼ右足1本でプレーすれば、左サイドにおける縦への推進力は低下する。左サイドの深い位置まで侵入しにくいサッカーに陥る。伊東純也(ゲンク)と、酒井宏樹(マルセイユ)、室屋成(ハノーファー)が縦の関係を築いた右サイドに比べ、著しくスムーズさを欠いた。なによりバランス的によくなかった。美的な問題を抱えていたのだ。

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